若い読者のための要約版『ハムレット』―『シェイクスピア物語』におけるチャールズ・ラムの創造的アプローチ―

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  • Hamlet Abridged for Young Readers: Charles Lamb’s Creative Approach to Shakespeare

抄録

王政復古期以降のシェイクスピア改作に焦点が集まる中,散文形式による改作は等閑視されてきた.本論文は,文人としての名声を未だ獲得できずにいたチャールズ・ラムが「文学的変装遊戯」の延長上で『シェイクスピア物語』(1807)の6 つの悲劇を書いた可能性に着目し,後の「シェイクスピア悲劇論」(1811)においても取り上げられた劇の1 つであり,シェイクスピア劇の中で最も長い悲劇であるがゆえに,紙幅上大胆な削除を余儀なくされた『ハムレット』の「要約」(abridgment)を検証する.特に,本論文は,「要約」においてチャールズが生み出した創造的な物語言説に注目し,読書を通して若い読者に文学的体験を手ほどきするというチャールズの「新しい」創造的アプローチを再評価する試みである.

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