皮膚生検,乳癌治療後に消退した右頚部基底細胞癌の1例

  • 文 省太
    独立行政法人国立病院機構大阪医療センター皮膚科 大阪国際がんセンター腫瘍皮膚科
  • 来田 英伸
    独立行政法人国立病院機構大阪医療センター皮膚科
  • 菊澤 千秋
    独立行政法人国立病院機構大阪医療センター皮膚科
  • 出野 りか子
    独立行政法人国立病院機構大阪医療センター皮膚科
  • 池田 彩
    独立行政法人国立病院機構大阪医療センター皮膚科
  • 小澤 健太郎
    独立行政法人国立病院機構大阪医療センター皮膚科

書誌事項

タイトル別名
  • A Case of Regression of Basal Cell Carcinoma after Skin Biopsy and Breast Cancer Treatment

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説明

<p>62歳,女性。乳癌の手術予定であったが,数年前から自覚する右頚部の皮疹を主訴に当科を受診した。右頚部に径10×5mm の黒褐色のわずかに扁平隆起する結節を認め,ダーモスコピーでは葉状領域や血管拡張がみられた。乳癌の術後に皮膚生検を施行し表在型の基底細胞癌と診断した。乳癌に対する術後補助療法として,パクリタキセルやシクロフォスファミド,ペルツスマブ,トラスツマブが投与された後,初診から6ヶ月後に基底細胞癌の切除を行なった。切除標本では腫瘍細胞は認めず,真皮上層に膠原線維や毛細血管の増生,リンパ球,メラノファージの浸潤がみられた。自験例は皮膚生検,乳癌治療後に消退した右頚部基底細胞癌と考えられ,原因として皮膚生検や乳癌に対する化学療法により腫瘍免疫が活性化した可能性が示唆された。基底細胞癌は免疫原性の高い腫瘍と推察されるが,消退の機序を解明するために,今後更なる症例の蓄積が必要である。(皮膚の科学,23 : 16-20, 2024)</p>

収録刊行物

  • 皮膚の科学

    皮膚の科学 23 (1), 16-20, 2024

    日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会

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