生活の安定と貸付
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- 角崎 洋平
- 日本福祉大学社会福祉学部
書誌事項
- タイトル別名
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- Livelihood Stability and Loans
- How have loans to the needy been positioned? How can they be positioned?
- 生活困窮者への貸付はどう位置づけられてきたか/位置づけることができるか
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説明
<p>本稿は,生活困窮者向け貸付事業が,いかなる目的をもとに,どのような機能を担ってきたのか,そして今後どのような機能を担いうるのか,を考察するものである.本稿は,日本の生活困窮者向け貸付事業である生活福祉資金貸付が,世帯更生資金貸付と呼ばれていた時代にさかのぼり,その現代まで続く歴史を確認する.まず,世帯更生資金貸付が,生活困窮者の生活基盤強化を目的として,生業のための事業用の資産を対象に貸付する制度として創設されたことを明らかにする.その後世帯更生資金は,生業のためのストックの保障を目的としたものから,住居や教育といった別のストックを保障するための貸付も視野に入れたものへと多様化していく.ただし,生活困窮者向け貸付事業が,現在の新型コロナ感染症対策特例貸付でみられるような,フローの家計収支の赤字を補完する貸付を中心としたものに変容していくのは 2000 年代以降のことである.本稿では,このような変容は,すくなくとも世帯更生資金から生活福祉資金への名称変更の時期には想定されていなかったことだと指摘する.本稿では最後に,全国社会福祉協議会の委員会における議論を参照して,貸付によってフローの生活保障を行うことに限界があることを指摘し,生活困窮者向けの貸付が個人のストックを強化するのみならず,地域のストックを強化するものにもなり得ることを指摘する.</p>
収録刊行物
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- Journal of Welfare Sociology
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Journal of Welfare Sociology 20 (0), 53-71, 2023-05-31
福祉社会学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390582108873731968
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- ISSN
- 21866562
- 13493337
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可