マイクロ・ナノプラスチックの細胞内動態解明に向けた検討
書誌事項
- タイトル別名
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- Investigation into the intracellular dynamics of micro- and nanoplastics
説明
<p>【目的】マイクロプラスチック(MPs)は直径5 mm以下のプラスチック粒子であり、特に1 µm以下のものはナノプラスチック(NPs)と定義され、環境中の至る所に存在している。近年、MPs/NPsはヒトの体内(糞便、血中など)から検出されおり、ヒトはその曝露を避け得ない状況にある。また、環境中のMPs/NPsは紫外線や波などにより劣化し、サイズや表面性状などの物性が変化することが知られている。その点、微粒子は、その物性によって体内動態や細胞内動態が異なることが知られているが、現状、MPs/NPsのサイズや表面性状などの物性の違いが及ぼす影響は未解明である。そこで、本研究では物性の中でも表面性状の劣化に着目し、MPs/NPsの細胞内動態の解明に向け、その評価基盤構築を試みた。</p><p>【方法・結果・考察】ポリエチレン(PE)の粉末サンプルに波長172nmの紫外光を照射することで環境中の表面性状を模擬した劣化サンプル(d-PE)を作製した。PEもしくはd-PEをマウスマクロファージ細胞株であるRAW264.7に添加し、Flow Cytometryを用いて細胞内への取り込みを細胞内部の複雑さを反映する側方散乱光(SSC)により評価した。PEもしくはd-PEを添加した細胞のSSCを測定したところ、d-PE添加群にてSSCの増加傾向が認められた。次に、細胞内取り込みを評価すべく、疎水基に反応して緑色の蛍光を発し、親水性が高まると赤色蛍光を示す蛍光染料であるNileRedを用いて蛍光標識したPE, d-PEを作製し、細胞内取り込みを評価した。ヒト単球細胞株であるTHP-1に添加し顕微鏡観察を行ったところ、蛍光標識したd-PEが細胞に接着している、もしくは細胞内に取り込まれている様子が観察された。現在、将来的なMPs/NPsの細胞内動態の詳細解明に向け、細胞内取り込みの定量法確立を進めている。</p>
収録刊行物
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- 日本毒性学会学術年会
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日本毒性学会学術年会 51.1 (0), P-54S-, 2024
日本毒性学会