血液領域の侵襲性真菌感染症診断における真菌バイオマーカーの基礎知識

  • 木村 俊一
    自治医科大学附属さいたま医療センター 血液科

書誌事項

タイトル別名
  • Basic Knowledge of Fungal Biomarkers for the Diagnosis of Invasive Fugal Disease in Hematological Patients

説明

侵襲性真菌感染症の診断において培養は基本かつ重要な検査であり,培養検査,病理組織学的な検査はその確定診断(proven diagnosis)に必要な項目となっている.一方で培養検査は感度が十分ではなく,結果判明までに時間を要することも多いため,モニタリングや早期診断に用いるには限界がある.そこで重要となるのが真菌の構造から産生される生物学的産物である真菌バイオマーカーを含む培養以外の菌学的検査,non-culture-based testsになる.国内の血液診療で広く用いられているのは真菌の細胞壁の構成成分を検出し,ムーコルなど一部の真菌を除く真菌全般のバイオマーカーとして用いられている(1→3)-β-Dグルカン(BDG),アスペルギルスの細胞壁の構成成分であるアスペルギルスガラクトマンナン抗原(GM)である.海外からは侵襲性アスペルギルス症の診断におけるlateral flow assayやpolymerase chain reaction(PCR),侵襲性カンジダ症の診断におけるT2カンジダなどの新しい真菌バイオマーカーの有用性も報告されている.本稿では,BDG,GMを中心に,新たな真菌バイオマーカーにも触れながら,血液領域の侵襲性真菌感染症診断における真菌バイオマーカーについてまとめる.本稿の内容は2023年10月の第67回日本医真菌学会総会・学術集会のシンポジウム12「血液領域の侵襲性真菌感染症診断におけるバイオマーカーの基礎知識」の内容に加筆修正したものである.

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390582850001459712
  • DOI
    10.11534/ishinkin.24.006
  • ISSN
    24345237
    24345229
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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