The Theory of Non-duality According to Jñānaśrīmitra’s <i>Advaitabinduprakaraṇa</i>
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- Sasaki Yuri
- Graduate Student, Nagoya University
Bibliographic Information
- Other Title
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- 『不二一滴論』におけるジュニャーナシュリーミトラの「不二」の理論について
- The Theory of Non-duality According to Jnanasrimitra's Advaitabinduprakarana
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Description
<p> 本論文は,唯識派の学匠ジュニャーナシュリーミトラ(Jñānaśrīmitra,11世紀頃)の『不二一滴論Advaitabinduprakaraṇa(以下,ABP)』において展開されている「不二」の理論を考察するものである.彼は,ただ顕現しているという事実だけに基づいて,三界が唯識であることを確立するためにABPを著し,冒頭において,外界対象は直接知覚されるが故にその実在は確立されるとする外界実在論者(経量部)の論証式を提示し,それを批判する形で,唯識を確立しようと試みる.その中でジュニャーナシュリーミトラは,異類例として黄疸を病んだ者や眼病者の存在を指摘することで,その対論者の論証式の過失を指摘し,また知覚(非概念知)における拒斥者(bādhaka)の存在を否定することによって,その黄疸を病んだ者や眼病者の認識が錯誤であるかは知覚された時点においては判断されないとして,唯識を主張する.</p><p> この場合,ジュニャーナシュリーミトラにとって,拒斥者とは認識内形象を区別し,判断するための判断知であり,確定知であると考えられる.そして,拒斥者は認識における異論(疑い)を排除するために必要不可欠であることから,彼は世俗においてはプラマーナとして認めるが,勝義(非概念知)においては錯誤知として否定する.そしてジュニャーナシュリーミトラは夢を喩例に用いた論証式を唯識の立場から示す.ここで夢が喩例として用いられるのは,知覚に拒斥者が存在しないために,知覚された時点では,その認識が夢であるのかは判断されないからである.</p>
Journal
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- Journal of Indian and Buddhist Studies (Indogaku Bukkyogaku Kenkyu)
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Journal of Indian and Buddhist Studies (Indogaku Bukkyogaku Kenkyu) 72 (3), 1095-1098, 2024-03-25
Japanese Association of Indian and Buddhist Studies
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Details 詳細情報について
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- CRID
- 1390582883016258048
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- NII Book ID
- AN00018579
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- ISSN
- 18840051
- 00194344
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- NDL BIB ID
- 033432837
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- Text Lang
- ja
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- Data Source
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- JaLC
- NDL Search
- Crossref
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- Abstract License Flag
- Disallowed