<研究論文>清末教科書『音楽学』にみる唱歌の受容と変容

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タイトル別名
  • <Research Article>Reception and Transformation of “Shōka” in the Late-Qing Musicology Textbook

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説明

本論文は、清朝末期の中国湖北省師範留学生が編纂した音楽教科書『音楽学』(一九〇五年)を取り上げ、近代における曲の越境をめぐる受容と変容の問題を論ずるものである。まず先行研究を参照しつつ、中国・日本・西洋それぞれにおける「唱歌」の概念とその変遷及び中日における唱歌教育の歴史を振り返ったうえ、『音楽学』の編纂者や出版情報の分析に基づき、本書が中日音楽交流史における重要な位置を占めることを明確にした。次に、『音楽学』所収の四十二曲の唱歌が参照した元歌を可能な限り検証し、『音楽学』の唱歌と日本、更に西洋の曲との受容関係を表で示した。最後に、日本の曲に新たに中国語の歌詞が付された唱歌を歌詞の変化の度合いにより「翻訳唱歌」と「翻案唱歌」に分類し、それぞれ元歌との比較分析を行った結果、日本人の民族精神を高揚させる日本の唱歌から中国の民族精神を高揚させる中国の唱歌に変貌をとげたことも指摘できた。

収録刊行物

  • 日本研究

    日本研究 69 85-120, 2024-10-10

    国際日本文化研究センター

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