発熱性好中球減少症(FN)の診療治療における実態

  • 竹井 七保子
    帝京大学ちば総合医療センター血液内科
  • 小松 恒彦
    帝京大学ちば総合医療センター血液内科 筑波記念病院つくば血液病センター

書誌事項

タイトル別名
  • Current clinical practice in the treatment of febrile neutropenia (FN)
  • ハツネツセイ コウ チュウキュウ ゲンショウショウ FN ノ シンリョウ チリョウ ニ オケル ジッタイ

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説明

<p>発熱性好中球減少症(FN)は,難治性かつ反復して発症するという性質上,確実な診断を行うとともに,早期から適切な抗菌薬を用いた経験的治療を行うことが重要になる。こうした背景を受け,国内外でFN診療に関するガイドラインが発表されてはいるが,いまだ本邦の実情に則した治療法が確立されているとは言い難い。そのため,我々は,本邦におけるFN診療確立の一助にすべく,FNに対する抗菌薬の処方動向を始めとした実態調査を行った。FN患者の割合は,血液内科>小児科(血液)>呼吸器内科>腫瘍内科>呼吸器外科という順に多く,血液内科においてFNと診断された患者および抗菌薬治療の割合が他科と比して高いことが確認された。初期治療の第一選択薬としては,診療科全体でCefepime(CFPM)が35.9%と最も多く,次いでMeropenem(MEPM)が24.3%という結果であった。選択の要因については,FNにおける推定起炎菌に広く強い抗菌力を有することに加え,本邦における保険適応の有無が大きく影響するという結果が確認された。第二選択薬については,MEPMが46.3%と最も多いことが確認された。ガイドラインの参考状況については,全診療科で52.0%という高い結果が示され,特に本邦におけるFN研究会のガイドラインが参考にされているという現状が確認された。一方,院内指針やクリニカルパスの導入状況は全体で13.0%と低率であった。FN患者に適切な治療を行うという意味でも,保険適応の有無,ガイドラインやエビデンスを参考にした院内指針およびクリニカルパスの導入は必須であり,これらが実施されていない現状は望ましいとはいえない。本調査結果から,本邦の実情に則したガイドラインの改訂と,院内指針やクリニカルパスの導入が必要と考えられる。</p>

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参考文献 (19)*注記

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