1歳6か月児を持つ母親の経済不安と主観的健康感および身体的疲労感との関連

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タイトル別名
  • Association between financial anxiety and subjective health and physical fatigue perceptions among mothers of 18-month-old infants

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説明

<p>目的 貧困は親の抑うつや育児ストレスなどを介して子どもの健康状態に影響することが指摘されている。これまで日本では経済状況と母親の抑うつ得点やQOL得点との関連を検討した報告はあるものの,主観的健康感や身体的疲労感に焦点をあてた研究はない。そこで本研究は,幼児を育てる母親の経済不安と主観的健康感および身体的疲労感との関連について検討することを目的とした。</p><p>方法 2017年11月から2019年10月までにA市にある1地域の1歳6か月児健診を受診した保護者に子育て状況調査を実施した。調査票に回答しかつ健診データの利用について同意が得られた者のうち,分析に必要な項目が欠損していた者を除外し779人のデータを分析した。目的変数は,母親の主観的健康感と身体的疲労感である。説明変数は3か月児健診と1歳6か月児健診各時期の母親の経済不安の有無,および両時期の経済不安状況であり,両時期の経済不安状況を4群に分類した。4群間での質的変数の独立性の検定にはFisherの正確確率検定を,母親の主観的健康感および身体的疲労感と経済不安との関連についてはロジスティック回帰分析を実施した。</p><p>結果 3か月児健診時に経済不安があるとした母親は54人(6.9%)で,1歳6か月児健診時には46人(5.9%)であった。3か月児健診時と1歳6か月児健診両時期の経済不安状況をみると,両時期とも経済不安がない母親は695人(89.2%)であり,3か月児健診時は経済不安がなかったが1歳6か月児健診時には経済不安がある母親は30人(3.9%),3か月児健診時は経済不安があったが1歳6か月児健診時には経済不安がない母親は38人(4.9%),両時期とも経済不安がある母親は16人(2.1%)であった。3か月児健診時と1歳6か月児健診時の両時期とも経済不安がある母親は,両時期とも経済不安がない母親を基準にすると,1歳6か月児健診時の主観的健康感が不良である者のオッズ比が3.85(95%信頼区間,1.34–11.05)であり,より身体的疲労感を感じている者のオッズ比が6.58(95%信頼区間,2.18–19.85)であった。</p><p>結論 経済不安の継続は母親の健康不良に影響する可能性がある。経済不安があることを把握した時点で経済不安を改善できるよう関係機関と連携しながら解決に向けた支援を行うことが重要である。</p>

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390583790038171520
  • DOI
    10.11236/jph.24-006
  • ISSN
    21878986
    05461766
  • PubMed
    39111858
  • 本文言語コード
    ja
  • 資料種別
    journal article
  • データソース種別
    • JaLC
    • PubMed
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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