自己と虚記憶の関係の検討
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- 島根 大輔
- 高知工科大学総合研究所
書誌事項
- タイトル別名
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- Exploring the Relationship between Self and False Memory
- : Self-Referential Learning Augments False Memory in the DRM Paradigm
- :DRMパラダイムにおける自己関連づけ学習が虚記憶を増加させる
説明
自己は記憶処理に重要な役割を果たしている。自己が記憶に与える影響の1つは自己参照効果であり,符号化時に自己参照することで記憶が促進される。他方,自己参照が誤警報の増加につながることも指摘されている。より最近の研究では,Deese-Roediger-McDermott(DRM)パラダイムにおけるリスト学習時の自己参照が偽記憶を増加させることが実証された。著者らは,自己参照によってリスト内の連合が強化され,その結果,学習項目とルアー項目の間に強い連合が生じ,それによって偽記憶の形成が促進されたと結論づけた。しかし,自己参照が誤警報の増加を誘因することを考慮すると,DRMにおける虚記憶の増強が, ルアー項目への特異的な効果かどうかは不明のままであった。そこで本研究は,学習時の自己参照・他者参照条件を被験者間で操作し,虚記憶の生起率を比較した。結果,自己条件での虚記憶増加が認められ,自己参照によるリスト内の連合の増加が示唆された。自己と虚記憶の関係を検討することで,虚記憶の適応的機能を明らかにできるかもしれない。
収録刊行物
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- 日本認知心理学会発表論文集
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日本認知心理学会発表論文集 2024 (0), 71-71, 2024
日本認知心理学会