高校生の縦断的スピーキングコーパスの構築とその活用

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タイトル別名
  • Construction of a Longitudinal Speaking Corpus and Its Application

説明

日本語を母語とする高校生104名を対象に,英語スピーキング能力の発達を23ヶ月にわたって追跡調査した縦断的コーパス(LOngitudinal Corpus of Spoken English: LOCSE)を構築した。本稿では,その構築過程と分析結果について報告する。LOCSEは,同一の学習者から定期的に8回のスピーキングデータを収集し,それを書き起こしてコーパス化したものである。また,学習環境などのメタデータも並行して収集している点が特徴的である。このコーパスを使用した語彙面の分析では,学習期間とともに語彙の多様性は増加したものの,語彙の洗練度には大きな変化が見られなかった。また,さまざまな言語項目の分析からは,発話の総語数が評価に最も大きな影響を与えることが判明し,前置詞,名詞,冠詞などの使用頻度も重要な要因であることが分かった。文法的複雑性については,句の複雑性が先に発達し,その後で節の複雑性が発達するという順序性が確認された。学習者の自己評価に関する分析からは,習熟度によって自己評価の正確さが異なり,時間の経過とともにその傾向が変化することが明らかになった。このコーパスは,教育実践における指導法や評価方法の改善,産出が変化するプロセスの解明,そして言語テスト開発におけるレベル別の評価基準の確立に貢献することが考えられる。また,従来の第二言語習得研究の仮説や理論を実証的に再検証する上で,重要な役割を果たすと考えられる。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390584033364395648
  • DOI
    10.69194/methodologysig.17.4
  • ISSN
    27595684
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用可

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