死後の個人情報の保護

書誌事項

タイトル別名
  • Protection of Personal Information after Death:
  • Comparing with Defamation and Moral Rights of Authors
  • 名誉・著作者人格権との比較を通じて

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説明

<p>社会のデジタル化が進展し、特にインターネットを通じて、多くの個人情報が収集されるようになっている。このような時代においては、個人に関する情報が適正に取り扱われることが法的に保障されて初めて、個人は安心して暮らすことができる。個人情報保護法は、このような目的から、個人情報を保護する仕組みを用意している。しかし、現行法上、ここで保護される個人情報は、「生存する個人に関する情報」に限定される。すなわち、個人が死亡した後は、当該死者に関する情報は個人情報保護法上の個人情報ではなくなり、原則として保護の対象ではなくなってしまう。</p><p>このような法状況の下で、本稿は、死後においても個人情報を保護すべきか、保護すべきとした場合、どのような規律をすべきかについて論じる。第1に、死後の個人情報の保護に関する裁判例及び条例を、第2に、類似の問題状況が存在する死者の名誉及び著作者人格権の保護に関する議論を分析する。これらの分析により、死後の個人情報の保護に関する立法論を展開する上で考慮すべき利益、具体的規律のあり方の選択肢やそれぞれのメリット・デメリットが明らかとなる。</p><p>本稿は、結論として、以下の立法論を主張する。(ⅰ)死者自身の人格的利益を保護するため、死者に関する情報をも個人情報として保護すべきである。(ⅱ)死者に関する情報を個人情報に含めた上で、著作権法116条に倣い、その遺族あるいは死者に指定された者に開示請求権等を付与するとの法律構成を採用するべきである。(ⅲ)具体的な規律としては、①遺族あるいは死者に指定された者を請求権者とする、②死者の意に反しない限り、これらの者が開示請求、訂正等請求、及び、利用停止等請求をすることができるものとする、③これらの請求については、死者の人格的利益の保護の必要性と、死者の情報を利用することで社会が得られる利益や開示請求等の対象となることによって生じる個人情報取扱事業者等の負担とのバランスをとらなければならないという個人情報保護特有の事情を考慮しながら適切な期間制限を設けるべきである。</p>

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390584110575806336
  • DOI
    10.24798/jicp.8.1_59
  • ISSN
    24329177
    24336254
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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