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左小脳出血による失調性歩行に対して体幹機能に着目し歩行動作能力改善を目指した症例について
Description
<p>【はじめに】小脳性運動失調による失調性歩行は歩行障害を呈し、歩行補助具や人による介助が必要となるケースがある。また、体幹失調により四肢の協調運動能力が低下するという報告もあり、体幹失調が立位バランスや歩行能力に影響を与えると考えられる。今回,左小脳出血による重度の体幹失調などの影響で歩行重度介助レベルとなっている患者に対し、種々の治療介入を行ったが、歩行能力向上に難渋した。そこで、体幹機能に着目し練習メニューの変更や歩行手段の検討を行い結果的に歩行動作自立となり自宅復帰に至った症例について報告する。 【症例紹介】症例は70代男性。診断名は左小脳出血で、発症日に開頭血腫除去術を施行され、31病日目に当院に転院。既往歴として右MCA脳動脈瘤クリッピング術。入院前のADL、IADLは、ともに自立。入院時の基本動作は物的把持にて見守り~軽介助、屋内外車椅子移動介助レベル。初期評価(31,32病日目)では、MMT(Rt/Lt)は股関節屈曲5/3、股関節外転4/3、膝関節伸展4/4、足関節底屈4/3。感覚検査(Rt/Lt)では表在感覚(10/7),深部感覚は正常。ロンベルグ試験は陰性。FBSは18点、SARAは22点。10m歩行(歩行車)では通常速度24,1秒、最大速度12,6秒。FIMは運動項目46点で認知項目27点。HDS-Rは24点。治療経過中に体幹機能評価としてFACTを追加し13点であった。介入時間はPT60分/7回/週とし、1)筋力増強、2)感覚トレーニング、3)基本動作練習、4)歩行練習を実施。 【経過】介入初期では重錘負荷や弾性緊縛帯を使用し臥位や座位、物的把持下での練習を中心に実施。その後、動的動作時に体幹動揺を強く認めたため、徐々に起立練習やフロントランジを追加した。歩行練習では姿勢矯正鏡などを用いて視覚フィードバックを利用し左下肢の支持性向上を図った。126病日目に表在感覚10/10、SARA13点、FBS37点であり、運動失調残存。また、歩行が歩行車を使用し見守りレベルであり、自立困難であったため、更なる評価としてFACTを追加。FACTは12点で動的体幹機能低下を認めたため、練習内容として5)立位バランス練習6)膝立ち位トレーニング7)四つ這いトレーニングを追加した。また、ADL能力や失調症状の軽減に伴い4)~7)のメニューを中心に合計100分/7回/週で実施。初期評価→最終評価の結果。MMTでは、股屈曲:外転(Rt/Lt)、(5→5/3→4):(4→4/3→4)、膝伸展(4→4/4→4)、足底屈(4→4/3→4)。膝踵試験(陰性/陽性)、表在感覚は10→10/7→10。ロンベルグ試験は陰性。FBSは18→46点、SARAは22→8点でFACTでは13→18点。歩行器を使用し10m歩行では通常速度24,1→9,8秒、最大速度12,6→6,1秒。独歩では通常速度9.0秒、最大速度7.4秒。FIMは運動項目46→72点で認知項目24→33点。HDS-Rは24→24点。最終評価時の移動手段は病棟内歩行器自立。自宅復帰後、屋内は歩行器もしくは、伝い歩き。屋外は歩行車、車椅子となった。 【考察】体幹には,中枢神経と臓器が存在し、運動については四肢間の運動連結やバランスに関して重要な役割を果たしている。と藤本らに報告されており、立位バランス能力と歩行能力低下は体幹機能低下による原因が影響していると考えた。また、宮井らにより脊髄小脳変性症患者に対して、四つ這い姿勢や、膝立ち姿勢の保持などの四肢と体幹の協調運動練習、バランス練習、歩行練習を中心とした包括的な介入によりSARA、FIM、快適歩行速度の改善を認めたことを報告されている。これより、本症例も体幹機能に着目し5)~7)の練習を難易度調節など段階的に行うことで、体幹動揺減少、動的バランス能力が向上し、FBS、SARA、FACTの点数も上がったため、これらが歩行動作能力改善に寄与したと考える。 【倫理的配慮】 演題に関し世界医師会によるヘルシンキ宣言に則り対象者への説明と同意を得た。また、利益相反に関する開示事項はない。</p>
Journal
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- Kyushu physical therapist Congress
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Kyushu physical therapist Congress 2024 (0), 302-, 2024
Kyushu Physical Therapy Association
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Details 詳細情報について
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- CRID
- 1390584807331573504
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- ISSN
- 24343889
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- Text Lang
- ja
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- Data Source
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- JaLC
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- Abstract License Flag
- Disallowed