低温酸素化機械灌流中のFMNと酸素消費に着目した肝臓機能定量評価
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説明
<p>【目的】低温機械灌流中の灌流液中FMN(フラビンモノヌクレオチド)濃度による肝臓の移植前機能評価の可能性が期待されている.本報告では心停止後の肝移植適応拡大のためにFMNを始めとする代謝因子の変化から低温機械灌流中における臓器機能評価法を検討した.【方法】体重20kgのブタ肝臓に対し心停止後に温阻血時間WITを設定し摘出した.その後低温酸素化機械灌流HOPEにて灌流を行い,FMN濃度や酸素消費,pH,圧力の変化から臓器機能評価を行った.また保存状況の評価のために自己血による恒温下での再灌流を行い,逸脱酵素(AST・LDH)や乳酸の計測を行った.【結果】同一のWITを設定した肝臓において,HOPE開始から灌流液中FMN濃度は増加し続けた.血液灌流中のAST逸脱について低値群(451~998IU/L)と高値群(1869~3493IU/L)とを比較すると,HOPE開始120minにてAST低値群では0.256 ±0.032mg/mL,AST高値群では0.528 ±0.139mg/mLのFMNが逸脱した.この時のHOPE中酸素消費量はAST低値群:12.7 ±2.1mg/L,AST高値群:11.3 ±1.9mg/Lであった.【考察】FMN逸脱量は血液再灌流中のAST逸脱に対応して高値である一方で,酸素消費量とASTの間に顕著な関係は見られなかった.FMNの逸脱はミトコンドリアの障害を示すためHOPE中の肝障害から血液再灌流中の障害を予測できる可能性が示された.低温機械灌流中の代謝因子変化による肝臓機能評価の可能性を示した.</p>
収録刊行物
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- 移植
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移植 59 (Supplement), s289_3-s289_3, 2024
一般社団法人 日本移植学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390585172428355200
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- ISSN
- 21880034
- 05787947
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可