日本における長鳴き鶏の保持と改良の技術 : 新潟県蜀鶏と秋田県声良鶏の事例から
書誌事項
- タイトル別名
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- Techniques for Preserving and Improving Long-crowing Chickens in Japan: A Case Study of the Tomaru in Niigata Prefecture and Koeyoshi in Akita Prefecture
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説明
本論文は,日本鶏のなかで長鳴きの特性をもつ蜀鶏と声良鶏を対象に,双方の繁殖・飼育技術を記述したうえで,長鳴性を保持させる技術を理解するための解釈枠組みを新たに提示するものである。日本の長鳴き鶏に関しては,その品種特性を紹介したものや飼育の技術を記述したもの,他品種との類縁関係を検討したもの,遺伝子の保存管理を検討したものなどがある。しかし,先行の研究ではたんに事例を祖述しただけのものが多く,一連の飼育技術を広く捉えるための枠組みを示したものはない。そこで筆者は日本の長鳴き鶏のなかで飼育者と飼育羽数が少なく,記録の緊急性が高い新潟県蜀鶏と秋田県声良鶏を対象に調査を進めた。本論文ではまず双方の飼育現場において親鳥の選抜から交配,産卵,孵化,育雛,長鳴きの訓練にいたる繁殖・飼育技術を記述した。これら一連の記述を通して,いずれの現場でも品種特性の保持と改良には優れた特性をもつ親鳥の選抜と交配がとりわけ重視されていることが分かった。ニワトリがもつ長鳴性は餌を強化子とした報酬訓練による改良が難しいためである。これらの成果を踏まえ,本論文では品種特性の保持と近交弱勢の回避という二つの志向性からなる解釈枠組みを新たに提示し,飼育者たちが個々の局面に応じて双方のバランスを調整しながら長鳴き鶏の飼育を続けていることを明らかにした。最後に,ここで新たに示した枠組みの展開可能性についても言及した。
収録刊行物
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- 国立民族学博物館研究報告
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国立民族学博物館研究報告 49 (2), 141-223, 2025-03-31
国立民族学博物館
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390585492991874048
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- NII書誌ID
- AN00091943
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- HANDLE
- 10502/0002000285
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- NDL書誌ID
- 034060608
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- ISSN
- 0385180X
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- 本文言語コード
- en
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- 資料種別
- journal article
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- データソース種別
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- JaLC
- IRDB
- NDLサーチ