75歳の高齢者は70歳の高齢者に比べてコロナ禍における5年後のフレイル発症率が増加する
説明
<p>【はじめに、目的】</p><p>我々はCOVID-19拡大後の2021年と2022年にフレイルが増加し (Hirose et al. J Am Geriatr Soc 2023)、フレイル悪化の要因は趣味や地域活動の未実施であることを明らかにした (Hirose et al. Geriatr Gerontol Int 2024)。本研究ではコロナ禍における新規フレイル発生率が年代によって異なるかを明らかにするため、70歳と75歳の5年後の新規フレイル発生率とその要因を検討することを目的とした。</p><p>【方法】</p><p>栃木県A市在住で2017年 (ベースライン)に70歳と75歳の要介護認定非該当者全数に基本チェックリスト (KCL)を用いたフレイル調査を実施し、5年後の2022年 (フォローアップ、コロナ禍)の75歳と80歳時に同様のフレイル調査を行った。KCLの結果より、8点以上をフレイルと判定した。解析対象者は両調査時に回答が得られた者のうち、ベースラインでフレイルに該当する者を除外し、70歳から75歳で336名、75歳から80歳で 191名とした。ベースラインのKCLが7点以下で5年後にKCLが8点以上を新規フレイル発生 (新規フレイル発生群)、ベースラインおよび5年後のKCLがともに7点以下を非新規フレイル発生 (維持群)に群分けした。統計解析は、2つの年代の新規フレイ ル発生率をカイ2乗検定で比較した。次に、2つの年代それぞれで新規フレイル発生群と維持群における比較をMann-Whitneyの U の検定にて行った。また、従属変数を新規フレイル発生の有無、独立変数を群間比較で有意差を認めたベースラインの KCL7領域の得点とし、ステップワイズ法による二項ロジスティック回帰分析を行った。有意水準は5%とした。</p><p>【結果】</p><p>新規フレイル発生率は、2017年の70歳から2022年の75歳で 8.6% (29/336名)、2017年の75歳から2022年の80歳で19.9% (38/191名)であり、75歳から80歳の新規フレイル発生率が有 意に高値であった (p<0.001)。また、二項ロジスティック回帰分析の結果、70歳から75歳の新規フレイル発生率の要因は、閉じこもり (p=0.001)、認知機能 (p=0.016)、口腔機能 (0.002)、 75歳から80歳の新規フレイル発生率の要因は、口腔機能 (p=0.008)、運動器の機能 (p=0.001)がそれぞれ抽出された。</p><p>【考察】</p><p>コロナ禍に75歳を境に新規フレイル発生率は増加することから、後期高齢者の方がコロナ禍においてフレイル化の影響を受けて いる可能性が示唆された。また、70歳からと75歳からの5年間ではフレイルの発生要因は異なる傾向を見出した。</p><p>【倫理的配慮】</p><p>国際医療福祉大学倫理審査委員会の承認済みで (21-Io-38-2、22-Io-25)、ヘルシンキ宣言に定められたガイドラインを遵守して実施された。オプトアウト方式により対象者に同意を得た。</p>
収録刊行物
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- 日本予防理学療法学会 学術大会プログラム・抄録集
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日本予防理学療法学会 学術大会プログラム・抄録集 3.Suppl.No.1 (0), 39-39, 2025-03-31
日本予防理学療法学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390585492992295808
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- ISSN
- 27587983
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用可