子どもロコモに対するハイリスクアプローチについて

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<p>【はじめに、目的】</p><p>我々は毎年、小学児童に対して、子どもロコモの予防を目的と したポピュレーションアプローチ(以下PA)を学校保健委員会に て実施している。内容は、子どもロコモのチェックテスト実施と講話、実技である。テストに関して、ひとつでも困難であれば子どもロコモの疑いがあるとされるが、困難項目が複数ある児童が存在する(ハイリスク児童)。そこで今回、ハイリスク児童に対しては継続的なフォローアップがより必要であると考え、体に対する意識的な自己管理の定着を目的としたハイリスクアプローチ(以下HA)を実施したため報告する。</p><p>【方法】</p><p>対象は、小学5年生192名の中で、子どもロコモチェックテスト3項目①しゃがみこみ②立位体前屈③肩挙上にていずれか2項目困難であった児童12名である。内容は、ファイルを約3ヶ月間使用し、ストレッチの自主的な実施と管理を促した。開始時は、養護教諭がファイルの説明と配布を行い、期間終了後に理学療法士が困難項目の再テストとアンケートを実施した。ファイルには、困難項目に対するストレッチ方法とチェックシート (1日1回実施時チェック)、またテスト方法を挟んだ。データ解析は、実施前と実施後のチェックテストの改善項目数。また、しゃがみこみ・立位体前屈・肩挙上それぞれの改善数を Wilcoxonの符号付順位和検定にて比較検討した。有意水準は5%未満とした。</p><p>【結果】</p><p>ストレッチ実施率は一人あたり平均60%であった。再テストにて、1項目以上の改善が12名中10名にあり、有意な改善を認めた。また、しゃがみこみも、改善が10名中6名にあり、有意な改善を認めた。立位体前屈・肩挙上は、改善傾向にあったものの、有意な差を認めなかった。アンケート結果として、ケガへの予防意識に関して12名中8名が向上したと回答した。</p><p>【考察】</p><p>PAとHAは、組み合わせることで相乗効果があると報告されており、今回の場合も、PAにより、子どもロコモ予防への理解 度が高まり、HAの円滑な実施に繋がったと考えられる。また、終了後には、個人の体の問題に対する自己管理の意識向上に繋がることが示唆された。理学療法士の学校保健での関わりは、重要性が高まっているものの、実際は単回(年1回)のPAに限られていることが多い。そのため、このようなHAを利用したフォローアップを追加実施することは、より質の高い支援に繋がると考えられる。</p><p>【倫理的配慮】</p><p>ヘルシンキ宣言に沿って教員及び児童への説明と同意を得た。</p>

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