エカベトナトリウムの低用量アスピリン起因性小腸粘膜傷害予防に関する検討

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抄録

<p>【背景】低用量アスピリン(LDA: low-dose aspirin) はアテローム血栓症性疾患の2次予防目的に広く使用されている。LDAは上部消化管粘膜傷害を引き起こすが、プロトンポンプ阻害薬(PPI: proton pump inhibitor) で胃酸分泌を抑制することにより粘膜傷害発症を予防することができる。小腸においてもLDAにより粘膜傷害を生じることが分かってきており、酸が関与しない小腸においてPPIは無効である。最近になり、粘膜防御因子増強薬にLDA起因性小腸粘膜傷害の予防に有効であるという報告が増えてきている。健常被験者を対象に粘膜防御因子増強薬のエカベトナトリウム(ES: ecabet sodium) のLDA起因性小腸粘膜傷害予防効果を確かめる前向き臨床試験を行った。</p><p>【方法】健常被験者30名を2群に分け、A群はLDAを、B群はLDAとES6gを2週間服用してもらい、その前後で小腸カプセル内視鏡検査を行い、ESによるLDA小腸粘膜傷害予防効果を検討した。</p><p>【結果】24名(A群12名、B群12名) で評価可能であった。2群間の被験者背景に有意な差は無かった。A群ではLDA内服後に小腸粘膜傷害数が有意に増加したが(1[0-5] → 5[1-11], p=0.0059)、B群においては有意な増加はなかった(0.5[0-9] → 3[0-23], p=0.0586)。またB群に関して、第1三分位では小腸粘膜傷害数に有意な変化はなかったが(0[0-4] → 1.5[0-8], p=0.2969)、第2第3三分位では小腸粘膜傷害は有意に増悪していた(0[0-5] → 2[2-15], p=0.0469)。結論: ESはLDA起因性小腸粘膜傷害に対して予防効果を有しているが、その効果は上部小腸に限られている。</p>

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