ユーイング肉腫とユーイング様肉腫
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- 吉田 朗彦
- 国立がん研究センター中央病院病理診断科
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説明
<p>こんにち,ユーイング肉腫はEWSR1/FUS-ETS融合を有する遺伝子的に純粋なグループとして狭く定義され,非典型的な遺伝子異常や形質を示す小円形細胞肉腫(いわゆるユーイング様肉腫)については,ユーイング肉腫とは異なる疾患として理解されている.後者には,①EWSR1-nonETS融合遺伝子を有する肉腫,②CIC肉腫,③BCOR関連肉腫の3群が大きく区別される.EWSR1-nonETS融合を有する肉腫については,報告数が少なく,疾患単位として確立しつつあるのは,EWSR1-NFATC2肉腫とEWSR1-PAZ1肉腫くらいであり,その臨床的振舞いについてもまだよくわかっていない.CIC肉腫は比較的頻度が高く,大部分はCIC-DUX4融合を有し,特徴的な組織像,WT1やETV4免疫染色陽性像,およびきわめて予後不良な臨床像など,特異な腫瘍型であることが明白である.BCOR関連肉腫にはBCOR-CCNB3,BCOR variant fusion,BCOR-ITDといった遺伝子異常を伴う複数の肉腫が含まれる,それぞれ違った臨床像を呈するが,組織像はいずれも類似しており,BCOR免疫染色の陽性所見も共通している.ユーイング様肉腫と総称される腫瘍群はこのように内的に不均一で,グループとして取り扱うことの合理性には疑問があり,少なくとも上記3群についてはそれぞれ特定して語られることが望ましい.</p>
収録刊行物
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- 日本小児血液・がん学会雑誌
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日本小児血液・がん学会雑誌 56 (2), 131-135, 2019
日本小児血液・がん学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390845702278011520
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- NII論文ID
- 130007705311
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- ISSN
- 21895384
- 2187011X
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- 本文言語コード
- en
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可