好酸球性副鼻腔炎における好酸球顆粒蛋白の機能解析

  • 津田 武
    大阪大学大学院医学系研究科耳鼻咽喉科・頭頸部外科学
  • 前田 陽平
    大阪大学大学院医学系研究科耳鼻咽喉科・頭頸部外科学
  • 端山 昌樹
    大阪大学大学院医学系研究科耳鼻咽喉科・頭頸部外科学
  • 武田 和也
    大阪市立総合医療センター耳鼻咽喉科
  • 猪原 秀典
    大阪大学大学院医学系研究科耳鼻咽喉科・頭頸部外科学

書誌事項

タイトル別名
  • Analysis of eosinophil granule proteins in ECRS

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抄録

<p>好酸球性副鼻腔炎 (ECRS) は,好酸球浸潤の強い鼻茸が鼻内に増生する難治性疾患である。原因として気道上皮細胞や2型ヘルパーT細胞 (Th2細胞),2型自然リンパ球 (Group 2 innate lymphoid cell: ILC2) といった様々な細胞がかかわるheterogeneousな疾患であり,さらなる病態形成因子の同定が期待されている。一方,好酸球に含まれる顆粒蛋白は抗寄生虫・抗菌作用を持ち生体の防御機構を担っているが,同時にその組織傷害性から様々なアレルギー疾患にも関与している。我々は好酸球に含まれる顆粒蛋白の一種であるEDNに着目しECRSにおける機能について検討を行った。その結果ECRS患者の血清EDN濃度は他の副鼻腔疾患患者と比較して有意に高く,臨床的な病勢と正の相関を認める結果であった。またECRS患者の鼻茸内ではEDNが高発現していた。ヒト鼻腔上皮細胞をrecombinant EDN蛋白で刺激しRNA-sequence解析を行った結果,epithelial mesenchymal transition pathway (EMT-pathway) が刺激によって最も大きく変動した。EMT-pathwayに含まれる遺伝子のうちMMP-9が最も発現量が高い遺伝子であった。EDNはECRSにおける難治性鼻茸形成に寄与すると考えられ,ECRSの治療において重要なターゲットとなる可能性がある。本稿ではECRSにおけるEDNの果たす役割を中心に解説する。</p>

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