都市規模ごとにみた公営プラネタリウム施設の目的と活用

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  • Purpose and utilization of Japanese public planetarium for city scale

抄録

<p>1.はじめに</p><p>プラネタリウムは,星空や天体運行を再現する道具であり半球面に映像を投映する空間である.日本国内にはプラネタリウムを有する施設が340館近く存在し人々が集う場となっている.日本におけるプラネタリウム施設の9割が公営の施設である.設置場所は,学校・教員研修施設といった学校教育の場だけではなく,科学館・博物館をはじめとする地方自治体の所有する公共施設に設置される.設置目的は,音楽ホールやプールのような他の文化公共施設と比べ多様である.その多くが教育目的であるが,地域内外から人を集める観光・地域再開発目的,地域のための福祉・文化サービスを目的とするなど期待される役割が異なる.</p><p>設置年代と立地の傾向をみると,1980〜90年代は市民文化・児童福祉目的で都市公園内および住宅地内に,1980〜90年代は市民文化目的で公共施設隣接に立地し,2010年代は教育目的で駅前立地の開設が比較的多い傾向がみられる(2019年春季学術大会発表).</p><p>2.研究目的</p><p>多様な施設設置目的を担うプラネタリウム施設は,各地方自治体で目的に応じた地域づくりへの効果を期待して設置されたと考えられる. また,開設時から現在の地域の状況は人口構成や財政,運営形態など多かれ少なかれ変化があり,プラネタリウム機器は2000年代後半よりデジタル技術変革があった.プラネタリウム施設をどのように活用し維持するかも地域の状況に即して行われていると考えられる.本研究では,プラネタリウム施設を基軸として日本国内での公営プラネタリウム施設をマクロな視点で捉えたうえで,地域との関係および影響を明らかにし,もって地域づくりへの効果の所存を考察することを目的とする.本件では,都市規模(指定都市・中核市・その他市町村別)ごとに現況を分析した結果と考察を発表する.</p><p>3.調査の手法</p><p>日本プラネタリウム協議会編「プラネタリウムデータブック」(2015)に掲載される施設一覧を元に,施設館および所有地方自治体の公開webサイトおよび機器メーカーの納品実績公開情報より,2019年4月現在稼働中のプラネタリウム施設の地理行列を作成した.これより学校および教員研修施設所有を除く公営施設を取り上げ,クロス集計を行った.運営の所管と形態は,各自治体の組織・機構図,指定管理実績一覧表より,設置目的は各自治体施設設置条例より情報収集した.都市の区分は総務省の定める地方公共団体の区分を用い,人口や財政力指数等の基礎情報は地域経済分析システム(RESAS)を利用した.</p><p>4.結果</p><p>指定都市には18市,中核市38市,特例市5市,東京特別区に9区,その他市町村に136市町村がプラネタリウム施設を有する.件数の少ない特例市,東京特別区を除いた指定都市・中核市・その他の市町村ごとに設置目的の割合を比較した結果,指定都市では,生涯学習とこども・福祉目的の割合が比較的高く,中核市では社会教育,市民・文化目的が比較的割合が高い.その他の市町村では,観光・産業目的と企画・総務目的が比較的割合が高い.どの都市規模でも教育目的の割合が高いが,それ以外をみると,都市規模で設置目的の傾向の違いがあった.</p>

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390845702282441728
  • NII論文ID
    130007710971
  • DOI
    10.14866/ajg.2019a.0_101
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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