レチノイン酸添加がニワトリ始原生殖細胞のSSEA-1発現に与える影響

DOI

書誌事項

タイトル別名
  • Effect of retinoic acid treatment on SSEA-1 expression of cultured chicken primordial germ cells

抄録

<p>【目的】レチノイン酸(Retinoic acid: RA)は,生殖細胞が減数分裂を開始するための重要なシグナルと考えられており,マウスでは中腎,ニワトリでは生殖腺の体細胞から分泌される。RAは,Stra8stimulated by retinoic acid gene 8)をはじめとしたRA制御関連遺伝子の発現を大きく変化させ減数分裂の開始を導くとされる。一方,SSEA-1は未分化マーカーとして知られ,生殖隆起(GR)に定着後に生殖細胞の分化に伴い発現量が減少していく。本研究では,ニワトリ始原生殖細胞(PGCs)を培養する培地にRAを添加し,in vitroにおいてPGCsの分化に影響があるかを調べた。【方法】白色レグホン種の孵卵6.5日胚(H&Hステージ27-30)から採取したGRを用いて実験を行った。採取したGRをトリプシンで分散し,1%FCS添加DMEM培地に5 μMのRAを加え2日間培養した。その後,生殖細胞に発現するVasaのチキンホモログ(CVH),SSEA-1,および,STRA8のそれぞれに対する抗体を用いて免疫細胞化学的に検討した。【結果】RA添加区では,抗CVH抗体にのみ陽性の細胞と,抗CVH抗体と抗SSEA-1抗体の両方に陽性の細胞が存在した。RA無添加区と添加区を比較したところ,RA無添加区で観察されたCVH陽性細胞の平均個数は5.5±2.9個であり,SSEA-1陽性細胞の平均個数は4.2±2.4個であった。一方,RA添加区のCVH陽性細胞の平均個数は3.2±1.5個であり,SSEA-1陽性細胞の平均個数は1.9±1.2個であった。RA添加区では抗CVH抗体陽性細胞に占める抗SSEA-1抗体陽性細胞の数が有意に減少していた(P<0.05)。以上の結果から,RAの添加によってPGCsの分化が進行しSSEA-1を発現した細胞が減少することが示唆された。なお,STRA8の発現とSSEA-1の発現の関連性については現在検討中である。</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390845702285958912
  • NII論文ID
    130007719365
  • DOI
    10.14882/jrds.112.0_p-61
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

問題の指摘

ページトップへ