高グルコース含有培地およびAMPKシグナル阻害により誘導される胚盤胞形成過程における細胞分化の表現型の類似性について

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  • Phenotypic similarities of cell differentiation during blastocyst formation induced by high glucose-containing media and AMPK signal inhibition

抄録

<p>【目的】哺乳類胚は受精後胚盤胞に至る発生過程で最初の細胞分化が起こり,内部細胞塊(ICM)と栄養外胚葉(TE)が形成される。このICMとTEへの分化にはHippoシグナルを介した転写因子TEADおよびYAPの活性制御が重要である。我々は,高グルコースが胚盤胞への細胞分化およびYAPの局在に影響を及ぼすことを報告した(第111回繁殖生物学会)。また培養細胞を用いた研究からグルコース代謝の亢進によりAMPキナーゼ(AMPK)活性が低下しYAP-TEADの活性化が起こることが明らかにされている。今回,本研究では胚盤胞におけるICMとTEの運命決定においてグルコース代謝とAMPKシグナルの関係について検証した。【方法】クローズドコロニーのICR系統の雌と雄マウスから卵子及び精子を用いて体外受精,体外培養を行った。培養はCZB培地に高濃度グルコース(20 mM,40 mM)を添加した培地で行った。AMPK阻害剤としてCOMPOUNDC(10 mM)を用いて培養を行い,桑実胚期と早期胚盤胞期においてTEとICMマーカーとしてCDX2とNANOGの発現について免疫蛍光染色により解析した。また,転写活性因子YAPの発現および局在についても解析を行った。【結果・考察】CompoundC添加によりAMPK活性を阻害した受精胚は,胚盤胞において高濃度グルコース培地の場合と同様にNANOG陽性細胞の割合が減少し,CDX2陽性細胞の割合が増加した(NANOG 17% vs 10%,CDX2 83% vs 90%)。これらの桑実期胚におけるYAPの細胞内局在を調べた結果,高濃度グルコース培地と同様にYAPの核内局在を示す細胞の割合が高まっていた(核内局在 83% vs 94%)。以上の結果から,AMPKシグナルはYAPの局在に影響し,ICMとTEのバランスに関与することが示唆された。また,高グルコース含有培地により起こるNANOG陽性細胞の減少は,グルコース代謝によりAMPK活性が低下してYAPの局在が変化した可能性が考えられる。</p>

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390845702287605248
  • NII論文ID
    130007719216
  • DOI
    10.14882/jrds.112.0_or1-29
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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