FBS添加はマウス培養始原生殖細胞の遊走を抑制する

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  • Suppression of cultured mouse PGCs migration by FBS

抄録

<p>【目的】始原生殖細胞(PGCs)の生殖隆起(GR)への遊走は,アメーバ様運動と誘引シグナルの受容によって実現される。マウスPGCs誘引シグナルとして,SDF-1/CXCL12とその受容体のCXCR4が同定されており,これらをガイドとしてPGCsはGRに移動する。しかし,PGCsはGRに定着すると同時に移動能力を失う。当研究室では,マウス血清添加培地でマウスGRを器官培養すると,PGCsがGRの組織外に遊走することを報告しており,その現象はPGCsの単離や移動能力の解析に有用であると考えられる。一方,FBSを添加して器官培養を行った場合,PGCsは遊離することなく,GR内に留まる。本研究では,PGCsのGRからの遊走現象を詳細に検討するため,DDX4(生殖細胞特異的タンパク質)を指標として添加血清の違いによるPGCsの遊走動態を観察した。【方法】12.5dpcのマウス胚からGRを採取し,PLLコートカバーグラス上にGRを静置した。GRは10%FBS,10%マウス血清,10%ウシ血清,10%ニワトリ血清を添加したDMEMで,それぞれ4日間培養した。組織の形態や細胞の遊離状態を顕微鏡で観察し,培養4日後のDDX4陽性細胞の局在や形態を免疫組織化学的に解析した。【結果】全ての実験区で培養3日目頃からGRの形態が崩壊し,カバーグラス上に線維芽細胞がシートした。また,FBS添加区を除いて,DDX4陽性細胞のGRからの遊走が観察され,マウス血清添加区では遊走細胞数が最も多かった。FBS添加区のDDX4陽性細胞は球形を示し,遊走は観察されなかった。【考察】FBS添加区において,線維芽細胞のシートは良好であったが,PGCsがGR内に留まり,細胞の形態も球形から変化しなかった。しかし,ウシ血清,ニワトリ血清添加区でPGCsの遊走が観察されたことから,FBSの添加はPGCsの遊走を,特異的に抑制する可能性が示唆された。</p>

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390845702289311488
  • NII論文ID
    130007719342
  • DOI
    10.14882/jrds.112.0_p-67
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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