手動ポリメラーゼ連鎖反応法によるカイコの雌雄判別

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タイトル別名
  • Sex determination of the silkworm, Bombyx mori, by manual polymerase chain reaction.
  • シュドウ ポリメラーゼ レンサ ハンノウホウ ニ ヨル カイコ ノ シユウ ハンベツ

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抄録

<p>先行研究から,カイコのW染色体(♀)を特異的に同定できる11のRAPD(増幅断片多型DNA)マーカーが見出された.その中から, W-Yukemuri-SとW-Bonsaiと名付けられたマーカーに着目し,サーマルサイクラー機器を用いて,PCR法(ポリメラーゼ連鎖反応)によるこれらマーカーの増幅条件を決定した:(1)DNA抽出と鋳型DNA量-カイコ後部糸腺からDNAを上手く分離することができ,そのDNAを反応液当たり2.5 ng以上/μLを加えて,鋳型とした.(2)反応の繰り返し回数と反応温度の範囲一反応温度は, 92-96℃で30秒間, 56-61℃で30秒間, 68-73℃で1分間であり,この温度サイクルを30回繰り返した.これら条件下でのPCR産物をアガロース電気泳動で分離すると,単一の雌特異的マーカーバンドが現れた.</p><p>手動PCR法を確立するために,3タイプの水槽-(1)ホットプレート付スターラーに置いた1Lビーカー, (2)スターラーに置いた温度制御器付恒温水槽, (3)温度制御器と噴流ポンプ式撹拌器を備えた恒温水槽-を用いた.これらの水槽の温度は,設定温度の1.5℃以内の範囲で制御することができ,これら水槽にサンプルを順次浮かべる操作を30回繰り返した.その結果,サーマルサイクラー機器を用いたPCRと全く同じ増幅産物が得られ,雌特異的マーカーであるW-Yukemuri-SとW-Bonsaiが単一バンドとして検出された.これらの結果から,手動PCR法によりカイコの雌雄判別ができることが明らかになった.高校生物の実験教材として導入した場合の有用性を4視点から考察した.</p>

収録刊行物

  • 生物教育

    生物教育 56 (1), 29-35, 2015

    一般社団法人 日本生物教育学会

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