急性冠症候群の患者を救え、迅速に対応するための看護師の取り組み

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抄録

【はじめに】<br>  A病院における夜間の災害・救命センター(以下ER)看護師体制は、二次救急当番日以外1名で対応している。その中、2018年度に循環器センター開設以降、24時間体制で循環器疾患患者受け入れを行っており、対象患者の搬送件数は増加傾向にある。急性冠症候群(以下ACS)患者は、虚血から冠動脈再灌流までの時間が予後に大きく影響することから、病院到着後90分以内に再灌流させることが推奨されている。2018年度にERが関与したPCI症例は31件であり、看護師1名で対応した症例は7症例であった。今回、限られたマンパワーでのACS患者の受け入れを、安全、確実、且つ迅速に治療へつなげていくための取り組みについて報告する。<br> 【取り組み内容】<br> 1.「ACS患者搬送準備リスト」および「ACS患者経過表」の見直し<br> 2.ACS患者受け入れに関するフローチャート作成<br> 3.ACS受け入れ時の物品セット化<br> 4.シミュレーション技法を用いたACS勉強会の実施<br> 【倫理的配慮】<br>  ERスタッフに対しては、口頭で研究方法を説明し個人情報を特定できる情報を一切使用せず、プライバシーと守秘を遵守した。<br> 【結果・考察】<br>  「ACS患者搬送準備リスト」および「ACS受け入れ時の物品セット化」によって、『受け入れ準備時間の短縮が図れた』といった意見が得られた。「ACS患者経過表」の見直しによって、経過記録の記載はしやすくなり、血管造影室への必要事項の申し送りが不備なく行えるようになった。ACS患者受け入れに関するフローチャート作成では、全看護師が問題なく連絡が取れるようになった。シミュレーション技法を用いたACS勉強会を行うことで、看護手順を振り返ることができたと同時に、タイムリーなフィジカルアセスメントが不十分であることが分かった。勉強会などの技術支援は、救急看護師の仕事に関連するストレッサー因子のうち「仕事の困難さ」を軽減できるという報告もあり、今後も勉強会を継続することは必要である。<br> 【結論】<br>  ACS患者受け入れに関する、検査・治療の流れ・薬剤投与などを標準化することにより、看護師の申し送りや各部署への連絡が不備なく行うことができ、経過記録も記載しやすくなった。今後は業務改善と共に勉強会を継続的に行い、看護師のフィジカルアセスメント力の向上を図ることが必要である。

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