モノソミー7

  • 稲葉 俊哉
    広島大学原爆放射線医科学研究所 がん分子病態研究分野
  • 長町 安希子
    広島大学原爆放射線医科学研究所 がん分子病態研究分野

書誌事項

タイトル別名
  • Monosomy 7: recent progress
  • モノソミー7 : どこまでわかったか
  • モノソミー 7 : ドコ マデ ワカッタ カ
  • —どこまでわかったか—

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抄録

<p>魑魅魍魎たるモノソミー7も,最初の報告から半世紀が経ち,ようやく本態が見えてきた。理解の鍵は,ハプロ不全(haploinsufficiency)による,複数の発がん抑制遺伝子の機能喪失である。マイクロアレイCGH法と次世代シーケンサにより,Samd9Samd9-likeSamd9L),Ezh2MLL3CUX1の5責任遺伝子候補が同定され,遺伝子改変マウスなどにより立証された。Samd9Samd9Lは,片アレルの喪失でマウスに老年期MDSを起こす一方,その機能更新型の変異は小児の骨髄機能不全をもたらし,高率に小児MDSが発症する。モノソミー7にとどまらず,難解なMDSを理解する上でも鍵となる遺伝子として注目される。一方,エピゲノム調節因子であるEzh2MLL3は,p53やRas経路の異常を伴い,腫瘍化が運命付けられた造血細胞の中で,病状の進展に寄与すると考えられる。</p>

収録刊行物

  • 臨床血液

    臨床血液 60 (9), 1020-1026, 2019

    一般社団法人 日本血液学会

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