診断治療に難渋した淋菌性後部尿道周囲膿瘍

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  • POSTERIOR PERIURETHRAL ABSCESSES DUE TO NEISSERIA GONORRHOEAE POSED DIAGNOSTIC DIFFICULTIES

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抄録

<p>今回我々は淋菌性後部尿道周囲膿瘍に対し抗菌薬投与,膀胱瘻による尿路変更及び穿刺ドレナージで保存的に治療し得た症例を経験したので報告する.</p><p>症例は27歳男性.1週間続く会陰部違和感を主訴に近医受診し痔核の診断でヒドロコルチゾン軟膏を処方されたが,症状増悪したため当科紹介受診となった.身体所見では発熱と前立腺の圧痛があり,血液検査では著明な炎症所見,尿検査では膿尿を認めた.単純CTで前立腺の軽度腫大と前立腺尖部背側に低吸収域を認めたため,急性前立腺炎および前立腺膿瘍の診断で精査加療目的に入院となった.入院後の造影MRI T2強調画像にて後部尿道に6cm大の高信号を呈する多房性腫瘤を認め,さらに尿細菌培養検査ではグラム陰性球菌を検出,また淋菌クラミジアPCRにて淋菌陽性を検出した.以上から淋菌性後部尿道周囲膿瘍の診断でCeftriaxone(CTRX)4g/dayを開始した.しかし炎症所見改善せず,第7病日には排尿困難の増悪を認めたため膀胱瘻を造設した.第8病日の造影CTで膿瘍の増大を認めたため経会陰的に膿瘍穿刺し,少量の黄白色の膿を吸引した.以降炎症所見の改善を認めたため第13病日よりFosfomycin(FOM)内服を開始し第15病日に退院した.退院後,腹部単純CTにて膿瘍の消失を確認しPCRで淋菌陰性を確認した.現在感染の再発や自覚症状を認めていない.</p>

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