火山ガラスの化学組成に基づく濃尾層泥質堆積物中の広域テフラの識別

  • 丸山 誠史
    株式会社京都フィッション・トラック 同志社大学文化遺産情報科学調査研究センター
  • 牧野内 猛
    (元)名城大学理工学部環境創造学科
  • 平田 岳史
    京都大学大学院理学研究科地球惑星科学専攻
  • 檀原 徹
    株式会社京都フィッション・トラック

書誌事項

タイトル別名
  • Identification of multiple widespread tephras from the volcanic glass shard chemistry of muddy sediments of the Nohbi Formation, central Japan

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説明

<p>後期更新世の濃尾層に含まれる泥質堆積物中の火山ガラスは,複数のテフラに由来するものと考えられる.濃尾層泥質堆積物の火山ガラスをグループ分けするために,LA-ICP-MSを用いて測定された,火山ガラスの58種の元素濃度データの階層的クラスター分析を適用した.クラスター分析の結果から,濃尾層基底の試料(Nohbi 38-54)に含まれる火山ガラスは,姶良Tn(44%),御岳第1(33%),恵比寿峠福田(23%)に分けられた.また,濃尾層中部の試料(Nohbi 60-2)に含まれる火山ガラスは,姶良Tn(35%)と恵比寿峠福田(65%)に分けられた.LA-ICP-MSを用いて測定された多元素同時分析と測定データのクラスター分析によって,先行研究で示唆された通り,濃尾層の泥質堆積物中に数十%の姶良Tnの火山ガラスが存在している証拠が得られた.濃尾層に多量の姶良Tnテフラ成分が存在し,姶良Tnテフラが最も新しいテフラ成分であることは,濃尾層の堆積年代に制約を与えるものである.この結果に基づけば,濃尾層は姶良Tnテフラの降灰期間中,あるいは降灰後に堆積したと考えられる.</p>

収録刊行物

  • 第四紀研究

    第四紀研究 58 (5), 333-348, 2019-10-01

    日本第四紀学会

被引用文献 (1)*注記

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参考文献 (38)*注記

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