菌根菌活用型ネギ栽培のための育苗用培土の開発

  • 大嶋 健資
    東北大学農学部 現:東京大学新領域創成科学研究科
  • 鈴木 貴恵
    東北大学大学院農学研究科附属複合生態フィールド教育研究センター
  • 宇野 亨
    東北大学大学院農学研究科附属複合生態フィールド教育研究センター
  • 田島 亮介
    東北大学大学院農学研究科附属複合生態フィールド教育研究センター
  • 伊藤 豊彰
    東北大学大学院農学研究科附属複合生態フィールド教育研究センター 現:新潟食料農業大学
  • 齋藤 雅典
    東北大学大学院農学研究科附属複合生態フィールド教育研究センター 国立研究開発法人 科学技術振興機構

書誌事項

タイトル別名
  • Development of growth media for seedling production in arbuscular mycorrhizal fungi-based cultivation of Welsh onion
  • キン コンキン カツヨウガタ ネギ サイバイ ノ タメ ノ イクビョウヨウ バイド ノ カイハツ

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抄録

育苗時にアーバスキュラー菌根(AM)菌を接種したネギは,定植後の生育が旺盛で収量増加が期待できる。しかし,有機質を主体とする育苗培土では経験的にAM菌の共生が弱いとされ,既往研究では菌が充分に感染する黒ボク土主体の無機質系培土が供試されてきた。AM菌活用型ネギ栽培確立のためには,作業性に優れる有機質主体の培土でもAM共生を確保する必要がある。そこで,本研究では理化学性の異なる種々の育苗培土においてAM共生とネギの生育を調べ,AM菌活用型の育苗培土の開発を目指した。ネギは品種・元蔵,AM菌はGlomus sp. R10を含む資材(出光興産)を供試した。培土は,無機質培土に有機質資材4種類(ピートモス,ココ繊維,バーク堆肥,燻炭)を各0,30,50%で混和したものを用いた。育苗開始時,全培土一律1,000mg P2O5 L-1と150mg N L-1となるように調整し,人工気象器で60日間,最大容水量70%で注水管理した。追肥は50日目に0.2g N L-1を施用した。その結果,作製した8種類の有機質培土において充分な菌根形成率が認められ,定植に適した苗を育成することができた。これらは全農の示す園芸用培土基準を満たす理化学性を有し,AM菌活用型ネギ栽培に適した育苗培土だと考えられた。

収録刊行物

  • 土と微生物

    土と微生物 73 (2), 79-85, 2019

    日本土壌微生物学会

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