晒工程での制御技術の変遷と今後

  • 森 芳立
    横河ソリューションサービス株式会社 コンサルティング2部

書誌事項

タイトル別名
  • Automatic Control of the Pulp Bleaching Process―The History of Its Evolution and the Future
  • サラシ コウテイ デ ノ セイギョ ギジュツ ノ ヘンセン ト コンゴ

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抄録

<p>紙パルプ製造工程の晒工程を対象に,まず一番,重要な制御機能として使われるPID制御(P:比例,I:積分,D:微分)の各制御動作の基本について説明,PID制御によるプロセスの制御応答の変化について示しながら,比例ゲイン,積分時間,微分時間のチューニングの重要性について述べる。</p><p>また,PID制御は非常に有用な制御機能であるが,例えば,晒工程のようにむだ時間がとても長いプロセス,そして,制御応答が相互干渉し合う複雑な反応を示すプロセスに対し,その機能上,制御性能面で弱点を持つことを示し,それらの問題点を回避するため取組まれてきた対策について紹介する。パネル計装時代以来,そして,1980年代末からのDCS(Distributed Control System)で取組まれてきたカスケード制御,統計解析で導出した重回帰モデル式を用いた晒アドバンスト制御,そして,1970年代後半のパネル計器や1980年代末からのDCSに,プロセスコンピュータを接続した上位計算機導入による多入力一出力の晒フィードフォワード制御の取り組みについて,そして,2000年代初頭から日本の紙パルプ産業でも取組まれ始めた多入力多出力の多変数制御を用いたPCによるモデル予測制御(MPC:Model Predictive Control)の取り組みなど,晒工程に適用されてきたプロセス制御技術の変遷について述べる。また,晒制御に使われる精巧な種々の特殊センサーに発生したトラブル,そして,モデル予測制御で併用されるソフトセンサーについても紹介する。最後に,現在,産業界で進展中のIIoT(Industrial Internet of Things)技術,機械学習技術,人工知能(AI)技術などについても触れ,これら新技術の今後の晒制御への適用についても考えて行く。</p>

収録刊行物

  • 紙パ技協誌

    紙パ技協誌 73 (8), 740-754, 2019

    紙パルプ技術協会

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