強直性脊椎炎の臨床

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タイトル別名
  • Clinical features of ankylosing spondylitis

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<p> 強直性脊椎炎(spondyloarthritis: AS)は,仙腸関節,脊椎など体軸関節炎を主病態とする疾患である.脊椎関節炎(spondyloarthritis: SpA)の代表疾患であり,若年男性に炎症性腰背部痛で発症することが多く,HLA-B27と強い関連性がある.炎症は靭帯の付着部に始まり骨のびらん性病変をきたし,その後に長期の経過で骨新生がみられ,椎体は架橋され強直に至る.炎症性腰背部痛は,通常は緩徐に発症し,安静で疼痛が増強し動かすことで軽快する特徴がある.ASの早期治療介入を可能にするため,体軸性脊椎関節炎という分類名とその基準が提唱された.これにより,改訂ニューヨーク基準におけるX線基準を満たさない体軸性脊椎関節炎(non-radiographic axial SpA: nr-axSpA)が分類されるが,nr-axSpAは長期の経過でASに進展しないことも多い.ASの診断は,その臨床的特徴をよく知り,鑑別診断を十分に行い注意深く経過観察することが重要である.</p><p> ASの治療では禁煙などの患者教育とストレッチなどの運動療法が推奨される.非ステロイド性抗炎症薬で効果不十分な場合には抗TNF抗体製剤インフリキシマブもしくはアダリムマブが用いられ,高い臨床的有効性を示す.二次無効の場合は他方への切り替えを行う.TNF阻害薬の長期間の投与や早期からの使用は長期的な骨病変進行を抑制する可能性が示唆されている.一次無効ではIL-17阻害薬セクキヌマブの有効性が示されている.</p>

収録刊行物

  • 臨床リウマチ

    臨床リウマチ 31 (3), 246-251, 2019-09-30

    一般社団法人 日本臨床リウマチ学会

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