中国の「三農」P2Pネット金融と「翼龍貸」

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発展途上国における農村金融サービスの展開が難しいことは周知の事実である。中国でも政府が長年に渡り政策課題として重視してきたが,その結果は芳ばしいものではなかった。中国では2007年からP2Pネット金融という新たな金融サービスが急速に普及してきたが,その中でも,農村,農業,農民を意味する「三農」に特化したプラットフォームである「翼龍貸」はこの分野のユニコーン企業となりうる。翼龍貸の成功の背後には情報の非対称性を軽減する同社の「同城O2Oモデル」がある。本稿では,翼龍貸とその仕組みを紹介したうえ,経済学的アプローチにより,このモデルがいかにして中国の実情に合わせて情報の非対称性を軽減したのかについて分析する。さらに,翼龍貸のビジネスモデルが農村金融に普及する可能性を探る。翼龍貸のサービスは国連が提唱する金融包摂の理念に合致しており,グラミン銀行のように途上国の金融そのものを大きく変える可能性を秘めている。

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