健康格差縮小と21世紀型健康教育・ヘルスプロモーション

  • 近藤 克則
    千葉大学予防医学センター社会予防医学研究部門 国立長寿医療研究センター老年学・社会科学研究センター老年学評価研究部

書誌事項

タイトル別名
  • Reducing health disparity, “health education 21” and health promotion
  • ケンコウ カクサ シュクショウ ト 21セイキガタ ケンコウ キョウイク ・ ヘルスプロモーション

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抄録

<p>日本でも「健康日本21(第2次)」で「健康格差の縮小」が政策目標となった.しかし健康教育は,深く考えずに推し進めれば,健康格差をむしろ拡大しかねない.低学歴,非正規雇用,低所得で困窮している人たちほど,健診や健康教室に参加せず,健康情報を得る機会が少なく,知識はあっても処理能力に余裕がない傾向があるからである.</p><p>ではどうしたら良いか.その手がかりは,ヘルスプロモーションのオタワ憲章などで示された「健康的な公共政策の確立」「支援的な環境の創造」「コミュニティの活動強化」など環境への介入である.それを進めるためには,その重要性を健康・医療政策に留まらない公共政策,環境・コミュニティづくりを担っている人・部門に対して伝えることが必要となる.</p><p>従来型の健康教育から「健康格差の縮小」に寄与する21世紀型の「健康教育21」にしていくには 3つの見直しが必要である.1)生活習慣・行動変容を本人に迫る内容から,暮らしているだけで健康になる環境づくり「ゼロ次予防」への内容の拡大,2)ヘルスセクターや一般の人たちに留まらず,非ヘルスセクターや民間事業者への対象の拡大,3)教育方法の研究・開発・普及において,知識伝授型教育から行動経済学などの知見を踏まえた認知・処理能力を重視した方法への変革である.</p><p>ヘルスプロモーションを実現するために,21世紀型「健康教育21」へのシフトが必要である.</p>

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