初期社会科における国土学習の特質 ― 市民性育成と国民教育の接合に着目して ―

書誌事項

タイトル別名
  • The Characteristics of National Land Studies in ‘Early Social Studies’ ― A focus on the Interface between the Citizenship Nurturing and National Education
  • ショキ シャカイカ ニ オケル コクド ガクシュウ ノ トクシツ : シミンセイ イクセイ ト コクミン キョウイク ノ セツゴウ ニ チャクモク シテ

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抄録

<p> 教育への介入を強める国家との関係において,今,社会科教育学研究に求められるのは,国家への「追従」でも,国家への「挑戦」でもなく,国家に対する「戦略的な思考」ではないだろうか。国家が定めた内容をどのようにアレンジすることが可能なのか,その内容をどのように授業にすることが社会科の理想に近づいていくことになるのか,などを示すことが必要である。例えば,政治的要請の影響を受けやすい一方で,国土に関する知識を自明のものとして教授することが多い「国土学習」について,過去のカリキュラムや教科書ではどのように扱ってきたのか,社会科授業としてどのような扱い方が可能なのか,などにあえてアプローチすることは,授業づくりに対する社会科教師の視野を広げるとともに,社会科教育学研究の存在意義を示すことにつながるだろう。本研究においては,「個の確立」と「市民性」を基底にした初期社会科における国土学習の特質を分析し,求められる国民意識の醸成と望ましい市民性の育成とがいかに接合されていたのかを見ることで,社会科らしい国土学習のあり方を示すとともに,国家と向き合う社会科教育学研究の一つのあり方を示した。</p>

収録刊行物

  • 社会科研究

    社会科研究 84 (0), 25-36, 2016-03-31

    全国社会科教育学会

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