気候変動は適応的浸透交雑をもたらすか - <i>Rubus</i>属における種間交雑 -

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タイトル別名
  • Adaptive introgression mediated by climate change in <i>Rubus</i>

抄録

<p>交雑は、他の多くの進化的プロセスと同様に、種の存続にとって負にも正にも働く。交雑には種の崩壊などのリスクが伴う一方、進化的応答の原動力となる多様性を供給する。こうした現象はとくに気候変動の影響をもっとも早く強く受ける種の南北集団において、集団内の多様性をブーストするだけでなく、前適応的な遺伝子変異の供給を可能にするかもしれない。本研究では、屋久島に分布の南限と北限をもつキイチゴ属ヤクシマキイチゴおよびリュウキュウイチゴとその交雑帯において、形態および遺伝子変異の分布を解析し、他種に浸透していく遺伝子変異を追った。交雑帯に展開する個体の形態的および成分的特性を解析したところ、葉のクロロフィル・カロテノイド含有量は、遺伝的な交雑度よりも交雑帯をゆるやかに移行していた。また、ゲノムワイドな変異を用いたGenomic Cline解析では、カロテノイド生合成や開花関連遺伝子周辺の領域が、交雑帯を中立予測よりも早く浸透していることが示された。異なる環境に適応する2種が分布域末端で接触することによって、近縁種の交雑とその後の戻し交配を繰り返し、環境の変化に応答しているのかもしれない。</p>

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390845712964388224
  • NII論文ID
    130007376525
  • DOI
    10.11519/jfsc.129.0_791
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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