ICTツール利用と仕事/家族の境界 : ワーク・ファミリー・ボーダー理論に基づく実証的検討(研究発表大会推薦論文)

書誌事項

タイトル別名
  • The effects of using ICT tools on work-family borders : An Empirical Study Based on the Work-Family Border Theory
  • 研究発表大会推薦論文 ICTツール利用と仕事/家族の境界 : ワーク・ファミリー・ボーダー理論に基づく実証的検討
  • ケンキュウ ハッピョウ タイカイ スイセン ロンブン ICT ツール リヨウ ト シゴト/カゾク ノ キョウカイ : ワーク ・ ファミリー ・ ボーダー リロン ニ モトズク ジッショウテキ ケントウ

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抄録

近年のICTツールの特徴は、コミュニケーションの場所的時間的な制約を一層弱める点にあろう。この特徴は仕事と家族のバランス向上の助けになるという知見があるいっぽう、仕事を増やしてバランスを損なう傾向にあることを強調する研究結果も少なくない。本稿ではワーク・ファミリー・ボーダー理論を適用した概念測定と仮説設定をおこない、三大都市圏に居住し子を持つ20-49歳の男女就業者を対象としたオリジナルデータの分析により、ICTツール利用が家族生活と職業生活に及ぼす影響を実証的に検討する。共分散構造分析による男女別の多母集団同時分析をおこなった結果、ICTツール利用度から境界浸透性への影響力は小さかったものの、在宅就業頻度の高さは仕事/家族の時間的境界への浸透性を強める傾向が確認された。浸透性とWFCとの関連は、ボーダー理論の予測とは反対方向の結果となった。境界浸透性を媒介せずに、男性については在宅就業の多さが、女性についてはICTツールの利用度の高さが、WFCを直接的に高めていた。総じてICTツールの利用度の高さは、仕事にも家族にも追われて忙しく余裕のない状態につながる傾向が確認された。

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