農耕地土壌分類第2次案改訂版から第3次改訂版への読替え試行

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タイトル別名
  • Application of "Classification of Cultivated Soils in Japan, Third Approximation" to the Existing Soil Maps
  • ノウコウチ ドジョウ ブンルイ ダイ2ジアン カイテイバン カラ ダイ3ジ カイテイバン エ ノ ヨミカエ シコウ

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抄録

農耕地土壌の分類第二次案改訂版から農耕地土壌分類第三次改訂版への読替え試行を行い,問題点を検討した。読替えは,既存の断面調査票と土壌分析値を用い,北海道と富山県で行った。このような方法によって大部分の土壌の読替えは可能であるが,読替え試行においていくつかの問題が明らかになった。実際の読替え作業における問題は,調査票への記載不足,判定基準の違い,および土壌分析値の不完全さなどである。これには既存の情報をできるだけ収集し,推定と予測を加えて総合的に判定することでかなり対応ができる。また,既存の土壌図は古いため,主に圃場整備に伴って土壌が変化し,現状と異なっている。このような地点は場所の特定も比較的容易であり,簡易調査法によって補完することが必要である。次に,3次案そのものには以下のような問題が明らかになった。1)低地土や台地土から黒ボク土に,逆に黒ボク土から台地土や火山放出物未熟土になるといった,従来の分類との継承性の問題があった。これは,定量的基準と切り取り法を用いたことによる,分類基準の厳密化と客観的分類の結果であり,やむを得ないものである。2)泥炭土については,とくに客土を行った土壌について,表層無機質の定義が薄過ぎるのではないかという問題があった。3)低地土などで,斑紋の形態を重視しているが,一般化しているとはいいがたい。判定についてのマニュアル作成などにより定義の普遍化が必要である。4)低地土と台地土(または山地土)の定量的境界は定義されているが,山地・丘陵地と台地の定量的境界は未設定である。5)母材については定量的基準の設定と軽石流や火砕流堆積物などをどう扱うか検討しなければならない。6)次表層は,地表下20〜60cmの間の土層と定義されているが,複数の層からなる場合の判断は定義されていない。7)土壌コードや,土壌統群と土壌統の名称に矛盾が見られ,整合性を図る必要がある。以上のような問題に対応するためには,責任ある組織で改変をする必要があり,土壌命名委員会の設置が望まれる。

収録刊行物

  • ペドロジスト

    ペドロジスト 43 (1), 28-35, 1999-06-30

    日本ペドロジー学会

被引用文献 (2)*注記

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参考文献 (8)*注記

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