東海地方の降水量観測データレスキュー

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タイトル別名
  • Data Rescue for precipitation observation in Tokai area

抄録

19世紀末以降の気候変動を明らかにするため、アメダスの前身である区内観測のデータレスキューを行っている。区内観測は紙ベースの観測記録であるため、データベースとして活用するため、デジタル化を実施している。両者の接続の際には、気象庁の「気象観測統計指針」に準拠した接続可否の判断を行った。初期結果として東海地方の19世紀末以降の極端降水の変動を調べた。一例として、三重県尾鷲市では1938年の測候所開設以降の日降水量観測を用いると、日降水量200mm以上の年間日数はほとんど増えていないが、この観測記録に区内観測を接続させ1891年以降の変動を調べると、200mm以上の日数は増加していることが分かった。両者の差異は数十年規模の変動のため80年間の測候所観測記録のみでは、気候変動のシグナルを抽出するには期間が短すぎることによる。気候変動に伴う長期変動を明らかにするには、数十年規模変動のタイムスケールよりさらに長い100年以上の統計を取る必要があることが分かった。加えて、200年に一度の確率降水量を調べた。愛知県内では200-400mm程度の値となったが、三重県ではさらに大きく、特に尾鷲では799mmという値が得られた。このことから、確率降水量は地域特性が非常に大きいことが分かった。これまでに、気象庁が作製した異常気象リスクマップにおいて、気象台や測候所の観測を用いて全国51地点の確率降水量が求められているが、これらは都道府県に1地点程度の情報であり、防災基礎情報としては十分な密度ではない。区内観測とアメダス観測とを接続させた高密度の長期統計が必要と考えられる。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390845712970126720
  • NII論文ID
    130007411947
  • DOI
    10.14866/ajg.2018s.0_000169
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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