久住高原に見られる非アロフェン質およびアロフェン質土層の累積した黒ぼく土断面

  • 久保寺 秀夫
    農業・食品産業技術総合研究機構九州沖縄農業研究センター
  • 増田 泰久
    元九州大学大学院農学研究院
  • 小路 敦
    農業・食品産業技術総合研究機構九州沖縄農業研究センター:(現)農業・食品産業技術総合研究機構北海道農業研究センター

書誌事項

タイトル別名
  • A profile of Kuroboku soil with non-allophanic and allophanic horizons in Kuju Plateau, Kyushu, Japan
  • クジュウコウゲン ニ ミラレル ヒアロフェンシツ オヨビ アロフェンシツドソウ ノ ルイセキ シタ クロボクド ダンメン

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抄録

非アロフェン質黒ぼく土とアロフェン質黒ぼく土の分布境界にある久住高原の草地で,土壌断面調査と分析を行った。調査断面は深さ100cmまで黒色から黒褐色の多腐植質黒ぼく表層が連続し,うち50〜72cmに段原降下スコリア(約4000年前の降下物)が含まれ,100cm以深は鬼界アカホヤテフラ(約7300年前の降下物)になった。地表から36cmまでの土層はpH(H_2O)が4.41〜4.44,交換酸度Y1が13.5〜19.1と酸性が強く,Al_p/Al_o比は0.33〜0.35で,X線回折では結晶性粘土鉱物のピークが明瞭に表れた。一方,36cm以深の土層はpH(H_2O)が4.97〜5.26,Y1が1.2以下と酸性が弱く,Al_p/Al_o比は0.03〜0.16で,結晶性粘土鉱物のX線ピークは見られなかった。このように36cmまでの土層は非アロフェン質,36cm以深の土層はアロフェン質の性格を持っていた。周辺の林内の断面2か所も,この断面と同様の層序と粘土鉱物特性を示し,久住高原にある程度の広がりを持つペドンと考えられた。調査断面は,日本の統一的土壌分類体系では厚層多腐植質非アロフェン黒ぼく土,農耕地土壌分類では多腐植質厚層非アロフェン質黒ボク土または多腐植質厚層黒ボク土,WRBではSilandic Melanic Hydric Andosol(Acroxic,Hyperdystric),Soil TaxonomyではAcrudoxic Hydric Melanudandと,分類体系によってアロフェン質に分類される場合と非アロフェン質に分類される場合があった。土壌管理の面からは,調査断面は非アロフェン質に位置づけられる方が望ましい。

収録刊行物

  • ペドロジスト

    ペドロジスト 53 (1), 11-20, 2009-06-30

    日本ペドロジー学会

被引用文献 (1)*注記

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参考文献 (20)*注記

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