南東北地方の代表的な水田土壌の粘土鉱物組成

  • 佐野 大樹
    東北大学大学院農学研究科附属複合生態フィールド教育研究センター:(現)岡山県備中県民局農林水産事業部井笠農業普及指導センター
  • 伊藤 豊彰
    東北大学大学院農学研究科附属複合生態フィールド教育研究センター
  • 安藤 正
    山形県庄内総合支庁
  • 南條 正巳
    東北大学大学院農学研究科
  • 斎藤 元也
    東北大学大学院農学研究科附属複合生態フィールド教育研究センター
  • 三枝 正彦
    東北大学大学院農学研究科附属複合生態フィールド教育研究センター:(現)豊橋技術科学大学

書誌事項

タイトル別名
  • Clay Mineralogical Composition of Representative Paddy Soils in Southern Part of Northeastern Japan
  • ミナミトウホク チホウ ノ ダイヒョウテキ ナ スイデン ドジョウ ノ ネンド コウブツ ソセイ

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抄録

南東北3県の代表的な水田土壌の粘土鉱物組成の特徴を明らかにするために,土壌環境基礎調査定点の225点の水田土壌試料を用いて,粘土鉱物組成による類型区分を行った。宮城県北部においては,北上川および江合川沖積地で準スメクタイト質土壌が,迫川および吉田川等の沖積地でスメクタイト質土壌が優勢であった。同県南部の仙台平野の七北田川,名取川の沖積地ではスメクタイト質が,阿武隈川の沖積地では準スメクタイト質が優勢であった。同県北東部の北上山地の谷底低地ではスメクタイトの少ない混合型の土壌が多かった。山形県北西部の庄内平野においては,中央部の最上川沖積地ではスメクタイト質が,南部の赤川沖積地では準スメクタイト質が,北部の日向川沖積地では2:1-2:1:1型中間種鉱物質の土壌が多かった。同県中央部の山形盆地では,最上川およびその支川である須川付近で準スメクタイト質およびスメクタイト質が優勢であり,小支川の影響を受けたとみられるところでは混合型等も分布した。同県南部の米沢盆地では,混合型,準スメクタイト質等,多様な粘土鉱物組成タイプの土壌が存在した。福島県西部の会津盆地においてはスメクタイト質および準スメクタイト質が比較的多いものの,同盆地南部ではクロライト質や混合型もみられた。同県中央部において,郡山盆地では混合型が,福島盆地南部ではスメクタイト質土壌が多かった。同県東部の阿武隈山地の谷底低地では混合型が優勢で,太平洋沿岸部の沖積地では河川ごとに混合型,準スメクタイト質,スメクタイト質が分布した。これまでの報告と同様に,粘土画分にスメクタイトを多く含む沖積低地の水田土壌の多くは,その上流地質に第三紀の堆積岩あるいはグリーンタフが存在していた。

収録刊行物

  • ペドロジスト

    ペドロジスト 54 (2), 83-92, 2010-12-31

    日本ペドロジー学会

被引用文献 (2)*注記

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参考文献 (21)*注記

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