希少海岸植物バシクルモンの新潟県の生育地における植生からみた生育立地特性

  • 指村 奈穂子
    神奈川県自然環境保全センター
  • 大谷 雅人
    兵庫県立大学自然・環境科学研究所/兵庫県立人と自然の博物館
  • 古本 良
    森林総合研究所林木育種センター
  • 横川 昌史
    大阪市立自然史博物館
  • 澤田 佳宏
    兵庫県立淡路景観園芸学校/兵庫県立大学大学院緑環境景観マネジメント研究科

書誌事項

タイトル別名
  • Habitats of the rare coastal plant <i>Apocynum venetum</i> L. var. <i>bashikurumon</i> (H. Hara) H. Hara revealed by vegetation survey in Niigata Prefecture, Japan
  • キショウ カイガン ショクブツ バシクルモン ノ ニイガタケン ノ セイイクチ ニ オケル ショクセイ カラ ミタ セイイク リッチ トクセイ

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抄録

<p>1. バシクルモンは新潟県,青森県,北海道の海岸に局所分布する希少な植物である.バシクルモンの生育立地特性を考察することを目的として,新潟県の生育地で,143個の方形区を作成し,植生調査を行った.</p><p>2. バシクルモンは,表面が硬く間隙のほとんどない岩場や,堆砂により埋没する砂丘不安定帯や,暴浪による基盤流失のような強い攪乱を不定期に受ける後浜には生育していなかった.また,他種との競争が激しい,Multiplied dominance ratio (MDR)(群落高と植被率の積)が高い風衝草原などにも,バシクルモンは生育していなかった.</p><p>3. バシクルモンは,適度な環境ストレス(例えば,風化の進んだ凝灰岩の崖地の群落)や自然攪乱(例えば,砂丘や礫質海岸の安定帯の群落)および人為攪乱(例えば,海浜後背の斜面などの風衝草原)のもとに成立する群落に高頻度で出現した.これらの群落では他種は大きく繁茂できず,MDRが高くならない立地であるが,バシクルモンは長い地下茎で進入し,高い被度で生育できるようである.</p><p>4. 本研究により,バシクルモンは,地下茎を伸ばせるような基質であり,かつ適度なストレスや攪乱でMDRが抑えられた場所に生育することが明らかになった.</p>

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