急性前骨髄球性白血病:診療最前線

  • 麻生 範雄
    埼玉医科大学国際医療センター 造血器腫瘍科

書誌事項

タイトル別名
  • Acute promyelocytic leukemia: state-of-the-art management
  • キュウセイ ゼン コツズイキュウセイ ハッケツビョウ : シンリョウ サイゼンセン

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抄録

<p>急性前骨髄球性白血病(APL)はt(15;17)由来のPML-RARα融合タンパクによるRARαとPMLの作用の阻害によって発症する。APLの治療は,PML-RARα融合タンパクに対する分子標的治療薬トレチノイン(ATRA)と亜ヒ酸(ATO)により飛躍的に改善した。ATRAとATOはそれぞれRARαとPMLへ結合してPML-RARαを変性し,細胞分化を誘導する。ATRAと化学療法により未治療APLの90%以上に寛解が得られ,20~30%再発するが,全生存率は80%前後が期待される。しかし,病初期の出血による早期死亡,地固め療法時の感染症死,再発および二次がんなどの課題がある。これらの多くは併用する抗がん薬に起因している。欧米ではATRAとATOの併用療法が初発APLの標準治療となりつつある。ATRAとATOの併用療法においてもAPL分化症候群や治療前白血球10×109/l以上の高リスク群の治療などの課題が残されている。</p>

収録刊行物

  • 臨床血液

    臨床血液 59 (6), 725-734, 2018

    一般社団法人 日本血液学会

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