「委託関係」における当事者組織の自律性問題 : 組織間関係論に依拠した理論枠組の構築

  • 村田 文世
    日本女子大学大学院人間社会研究科博士後期課程

書誌事項

タイトル別名
  • Autonomy Issues of Self-help Organizations in Contractual Relationships with Local Governments : The Construction of a Theoretical Framework by Application of Interorganizational Theory
  • イタク カンケイ ニ オケル トウジシャ ソシキ ノ ジリツセイ モンダイ ソシキ カン カンケイロン ニ イキョ シタ リロン ワクグミ ノ コウチク

この論文をさがす

抄録

本稿は,行政組織との「委託関係」における,当事者組織の自律性を維持するための戦略的な組織行動について,組織間関係論の2つのパースペクティブを援用しながら実証研究のための理論枠組を構築するものである.まず「委託関係」の形成理由を,制度化パースペクティブからは福祉多元化に伴う供給システムへの「制度的同型化」,資源依存パースペクティブからは「資源交換」の安定化としてとらえ,「委託関係」が生み出す不均衡関係へのおのおのの視角の相違を明らかにした.資源依存から生じるパワー不均衡を理論的に説明したのち,当事者組織の戦略的組織行動として,(1)戦略的資源の保有,(2)代替的資源の保有,(3)組織規模の拡大,(4)組織構造の変革,(5)社会的威信,(6)コミュニケーションの重要性,の仮説を導出した.しかし,組織間関係は恒常的ではなく組織間や組織内のダイナミズムのなかで変化するものであり,実証研究ではそれらを動態的にとらえる必要性を述べた.

収録刊行物

  • 社会福祉学

    社会福祉学 46 (2), 17-28, 2005-11-30

    一般社団法人 日本社会福祉学会

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ