<論文>ME voutの用法

  • 砂澤 健治
    仙台白百合女子大学人間学部(国際教養学科)

書誌事項

タイトル別名
  • <Article>Middle English vout, an Old French Loanword
  • ME voutの用法
  • ME vout ノ ヨウホウ

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抄録

英語の「顔」を表す言葉のメンバーは、中英語時代に様変わりした。OE以来の本来語、onlete, onsene, wliteの衰退とともに、フランス語から、cheer, face, visageといった言葉が次々と借用されたためである。無論、PEにおいて、「顔」を表す最も一般的な言葉として定着したのがfaceであることは言うまでもない。cheerは、英語に登場したのは一番早いが、今日、「顔」の意味では廃用。また、visageは、Chaucerの時代には目覚しい活躍ぶりを見せるが、PEでは文語扱いとされている。しかるに、MEでは、これらの他にも、同じOF系の「顔」を表す言葉の一つに、vultがあった。vultは、14世紀半ばに英語に初めて登場したが、他のOF系借用語のケースに比べると極端に寿命が短い。英語では、Morte Arthure(以下、MAと略す)、Castleford's Chronicle(以下、Castleford'sと略す)といった北部方言の作品だけに現れる。本稿では、上記2作品に生起した、ME voutの使われ方を調査することにより、その語が、英語の「顔」を表す言葉のメンバーから、逸早く、姿を消してしまうことになった理由について考察する。

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