初診時における咬合崩壊予測に関する研究

DOI
  • 平田 米里
    新潟医療福祉大学大学院医療福祉学研究科
  • 木下 直彦
    新潟医療福祉大学大学院医療情報・経営管理学専攻
  • 本間 美知子
    医療法人社団健進会新津医療センター病院看護部
  • 小磯 京子
    千葉科学大学看護学部
  • 石上 和男
    新潟医療福祉大学大学院医療福祉学研究科 新潟医療福祉大学大学院医療情報・経営管理学専攻
  • 瀧口 徹
    新潟医療福祉大学大学院医療福祉学研究科 新潟医療福祉大学大学院医療情報・経営管理学専攻

書誌事項

タイトル別名
  • Prediction of Bite Collapse by Proportional
  • ―歯科診療所の経年データを用いたCox比例ハザードモデル―
  • Hazard Model, Using Patient Dental Records

この論文をさがす

抄録

<p> 1989年開始の8020運動が功を奏し,2016年には80歳以上の20歯保有者が5割を超えた。本目標の到達には,第一次予防のうち啓発活動主体のpopulation strategyのみでは限界があり,WHOが提唱するhigh risk strategyが必要である。しかるに,いまだ未導入の主要な原因に研究デザインに関する倫理上の理由が挙げられる。たとえば,歯科健診で高度の歯周疾患を有する早期の咬合崩壊のハイリスク者とされた場合,そのまま放置せずさまざまな予防処置や治療を行い,歯を喪失しない方向で比較対照群を設けず介入を行うであろう。このことはいわば「ハイリスク者という予測が当たらない方向で介入することと同義」であり,結果的に有効なハイリスク判定指標の開発を難しくしていると考えられる。本研究では,初診時に20歯以上の現在歯を保持している中高年の患者404名を対象に近未来の咬合崩壊の端緒をサロゲートエンドポイントとし,初診時の予測指標の同定を試みた。咬合崩壊の端緒を現在歯数と推定咬合歯数および咬合支持域の3条件の組み合わせで捉え,最長6年半にわたって追跡しCox比例ハザード分析を行った。その結果,有意のハイリスク項目は,①年齢蓄積性,②歯間ブラシなどの不適切使用,③歯周ポケット対策などの量と質,④禁煙指導や糖尿病管理など歯科医科連携,および⑤大臼歯数左右差などの評価未確定要因,に分類された。</p><p> 患者の咬合崩壊について,交絡因子を調整するためCox比例ハザードモデルなどを用いる分析法は有用であると考えられた。</p>

収録刊行物

  • 老年歯科医学

    老年歯科医学 33 (1), 3-16, 2018-06-30

    一般社団法人 日本老年歯科医学会

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ