ラット光毒性試験における新規評価法の試み:分光測色計を用いた紅斑の定量評価

書誌事項

タイトル別名
  • New approach for phototoxicity study in rats: quantitative evaluation of erythema by spectrophotometer

説明

<p>【背景・目的】in vivo光毒性試験の評価項目の一つである紅斑は、一般的にDraizeの判定基準に従い、目視観察で定性的に5段階のスコア(Score 0~4)を判定する。その中で、Score 0(異常なし)とScore 1(ごく軽度)、Score 2(軽度)の判定には熟練された観察者が必要であり、観察者の習熟度によって結果にばらつきが生じる懸念がある。そこで本研究では、色を数値化できる分光測色計を用いて紅斑が定量評価可能か検討した。</p><p>【方法】ラットにおいて光毒性陽性対照物質である8-methoxypsoralen (8-MOP) 10 mg/kgを6週齢雄Sprague-Dawleyラットに単回経口投与し、投与1時間後(Tmax)に耳介の周縁部に光照射した。照射終了24、48、72時間後に耳介の皮膚反応を目視により観察し、Draizeの判定基準に従って皮膚評点を付けた。同時に左右の耳介の色を分光測色計CM-2600dを用いて単盲検法で測定し、目視観察との相関を確認した。分光測色計の測定指標には明度のL*、赤色と緑色の色相/彩度を示すa*、黄色と青色の色相/彩度を示すb*を用いた。</p><p>【結果・考察】Score 1の個体では0の個体よりもa*が高値を示し、一定の基準線を引くことが可能であった。一方、Score 0と2の個体ではa*は同程度であったが、Score 2の個体ではScore 0の個体よりもb*及び L*が低値を示し一定の基準線を引くことが可能であった。このことはScore 1の個体では耳介が赤みを帯びていたため赤色を示すa*が高値を示し、Score 2の個体の耳介では浮腫に伴う暗青色化が進んでおり、青色と明度を示すb*とL*が低値を示したためと考えられた。以上より、本分光測色計を用いた評価は従来法と比較し、より客観的な判定が可能で、汎用性のある有用なラット光毒性試験法になり得ると考えられた。</p>

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390845712981972352
  • NII論文ID
    130007432307
  • DOI
    10.14869/toxpt.45.1.0_p-56
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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