イヌにおける肝逸脱酵素の臓器・組織分布及びその種間比較

DOI

書誌事項

タイトル別名
  • Distribution profiles of liver leakage enzymes in dogs and their species differences

抄録

<p>血中のアラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)及びグルタミン酸デヒドロゲナーゼ(GLDH)は、肝障害のバイオマーカーとして使われているが、毒性試験では肝臓に病理組織学的変化がみられなくても上昇するケースがしばしば認められ、肝臓以外の由来を考慮する必要があるが、毒性試験に使用される動物種の臓器・組織におけるそれらの発現分布及びその動物種差に関する情報は限られている。我々は以前、ラットの諸臓器・組織におけるALT、AST及びGLDHの分布について調べた結果を報告した(日本毒性学会年会, 2017)。今回はイヌの全身諸臓器・組織におけるこれら酵素の分布について、活性値及びタンパク質発現量(ALT及びASTはアイソフォームとして)の両面から解析を行い、ラットのそれと比較した。ASTは肝臓以外の多くの臓器・組織においてその活性とAST1, 2タンパク質の発現を認め、ラット同様に全身に渡り広く分布する酵素であることが明らかとなった。GLDHは肝臓における活性及びタンパク質発現量が他臓器・組織よりも圧倒的に高く、ラット及びイヌともに血中GLDHは肝臓が最も主要な由来臓器であると考えられた。ALTはラットでは肝臓に次いで小腸のALT活性が高かったが、イヌ小腸のALT活性は低く、また肝臓ALT活性総量の体内比率はイヌの方が高かった。イヌのALT活性は、他に心臓、胃及び骨格筋等で高く、さらに器官重量(器官のサイズ)を加味すると白色脂肪もALT活性総量の多い組織であった。イヌを用いた毒性試験において、肝臓の病理組織学的変化を伴わない血中ALT, AST及びGLDHの変動がみられた場合は、これら由来候補となる臓器・組織について、器質的変化の有無、これら臓器・組織へ影響を及ぼす病態あるいは被験物質の作用を考慮した評価が必要であると考えられた。</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390845712984956416
  • NII論文ID
    130007431996
  • DOI
    10.14869/toxpt.45.1.0_p-245
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

問題の指摘

ページトップへ