わが国の医療安全施策の動向

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説明

1999(平成11)年に発生した患者取り違え事故や消毒薬の血管内投与による死亡事故を契機に,医療事故が社会問題となった.こうした背景から厚生労働省では,医療の安全の確保を医療政策における最も重要な課題の1つとして位置付け,これまで各医療関係者(医師,歯科医師,薬剤師,看護師等の医療従事者や病院関係者,医薬品等の製造,販売に関わる事業者等)において進められてきた取組を基礎に新たな展開として,2001(平成13)年を「患者安全推進年」と位置付け,各関係者との共同行動として,総合的な医療安全対策を推進することとし,同年4月に医政局総務課に,医療安全対策を推進するための企画・立案などを行う「医療安全推進室」を設置し,同年5月に医療安全対策の基本的な方向性と緊急に取り組むべき課題を検討するため,幅広い分野の専門家による「医療安全対策検討会議」を設置した.その後,2002(平成14)年4月にとりまとめられた「医療安全推進総合対策」,2005(平成17)年6月にとりまとめられた「今後の医療安全対策について」を踏まえ,医療安全対策を推進してきた.<br>本稿では,これまで厚生労働省が取り組んできた主な医療安全対策に加え,2015(平成27)年10月に施行された医療事故調査制度について説明する.

収録刊行物

  • ファルマシア

    ファルマシア 52 (1), 11-15, 2016

    公益社団法人 日本薬学会

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