心肥大を伴う拡張不全心の心筋収縮力に対する一考察

  • 森下 孝臣
    大阪大学大学院 基礎工学研究科 機能創成専攻生体工学領域
  • 伊井 仁志
    大阪大学大学院 基礎工学研究科 機能創成専攻生体工学領域
  • 和田 成生
    大阪大学大学院 基礎工学研究科 機能創成専攻生体工学領域

書誌事項

タイトル別名
  • A simulating study of contraction force in heart failure with preserved ejection fraction

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説明

<p>近年、左室駆出率が保たれているにもかかわらず、心不全症状を呈する心不全(HFpEF)患者が増加し、注目されている。HFpEFは収縮不全に先んじて起こり、心不全症例の多数を占めており予後も良好とはいえない。成因ついては明らかにはなっておらず、種々の議論がある。心臓超音波による研究では、心筋肥大と収縮時の心筋歪みの低下が認められている。しかし、収縮時歪みが低下しているにもかかわらず、同様の左室駆出率を有するということは一見奇異に感じ、どのような条件でそのことが達成されているかは明らかではない。そこで、初期の心筋形状、特に心筋の厚みに注目し、圧肉円筒心筋モデルを用いて、心筋初期形状の左室内径および心筋厚みを変化させ、それぞれの左室駆出率50%を達成する、心筋収縮力を算出した。圧肉円筒心筋モデルは内直径を40~50mm,心筋厚を8~16mm,高さ10mmとし、計算は微圧縮、心筋線維に沿った異方的な弾性力と心筋収縮力、およびニュートン粘性を考慮した。結果、内径が大きいほど、また心筋が厚いほど、左室収縮率50%を達成する最大心筋収縮力は、高く必要であった。それにもかかわらず、心筋が厚いほど収縮時平均円周方向グリーン歪みは小さくなった。これは、一見同様の仕事をしているように感じられるHFpEF心筋であるが、心筋肥大のため、正常心筋より大きな心筋収縮力を必要としていることを示唆する。</p>

収録刊行物

  • 生体医工学

    生体医工学 Annual56 (Abstract), S109-S109, 2018

    公益社団法人 日本生体医工学会

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390845713000185728
  • NII論文ID
    130007483621
  • DOI
    10.11239/jsmbe.annual56.s109
  • ISSN
    18814379
    1347443X
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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